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ISSM 2020(2) 最優秀論文はルネサスの「欠陥分類へのAI活用」 – ISSM 2020一般講演

奇数年には台湾で、偶数年にはSEMICON Japanの協賛イベントとして東京で開催されてきた「半導体製造国際会議(ISSM)」。SEMICON Japan 2020の協賛イベントとして開催されたISSM 2020の内容を紹介する本連載の2回目となる今回は28回目となるISSM 2020のチュートリアルと一般講演を紹介したい。

チュートリアル – 「ウルトラクリーンテクノロジー」と「製造に必須のプラズマによる損傷」

ISSM 2020では、最初に2件のチュートリアル(講義)が行われた。

1件目は、東北大学未来科学技術共同研究センター特任教授の白井泰雪氏が「ウルトラクリーンテクノロジー(UCT)の概念と成果」と題して、東北大学で故大見忠弘教授のグループが1980年代から科学的半導体製造を確立するために研究してきたウルトラクリーンテクノロジーの概念と得られた成果についての講演を行った。

白井氏は「100%の製品歩留まりを達成するには、プロセス全体で変動のない完全な均一性と完全な再現性を備えた高性能プロセスが必要である。ウルトラクリーンテクノロジーの3つの原則は、(1)ウルトラクリーン処理環境、(2)ウルトラクリーンウェハ表面、(3)完全なパラメータ制御プロセスであり、これら3つの原則に基づいて、スーパークリーンルーム技術、ウルトラクリーンガス技術、ウルトラクリーンウェットプロセス技術などさまざまなウルトラクリーン技術を開発してきた」と述べ、研究開発の成果と現在の取り組みを紹介した。

2番目のチュートリアルは、京都大学大学院航空宇宙基礎講座の江利口浩二教授が「プラズマプロセスによる損傷のモデリングと特性評価」と題して、微細化MOSデバイスの製造に必須のプラズマ処理で、避けることのできない損傷についての講演を行い、損傷モデルとその評価手法について解説した。

江口氏は「プラズマ処理中、プラズマとデバイス間の相互作用がデバイスの劣化につながることは広く知られており、プラズマ処理のこれらのネガティブな側面、つまりプラズマプロセスによる損傷について、過去30年間、MOSFETの性能に対する損傷のメカニズムと影響を明らかにするために世界中で多大な努力が注がれてきた」とし、本質的に不可避の損傷メカニズムの1つであるイオン衝撃損傷(プラズマによる物理的損傷:PPD)に焦点をあてて解説した。

「損傷層の厚さはデバイスのフィーチャサイズと比較して無視できないため、FinFETや原子層エッチング技術などで最終的にスケーリングされたMOSFETにとって新たなトピックの1つになっている」と指摘し、「プラズマによる損傷の問題は、プロセス担当者だけではなく、デバイス、回路設計関係者が協業して対処しなければならない」とした。

このほか、特別招待講演として「半導体量産のためのナノインプリント技術」に関する講演をキヤノンが行った。量産に適用できるようになるまでには、重ね合わせ精度、スループット、インプリントマスク寿命など解決しなければならない課題がまだまだ多いようである。

一般講演 – 最優秀論文賞はルネサスの「欠陥分類へのAI活用」{#ID2}

ISSM2020では一般論文が37件採択された。分野別内訳は、

  • プロセス監視および制御方法:12件
  • 歩留まり向上および欠陥制御:7件
  • プロセス材料最適化:5件
  • アッセンブリ&パッケージング:4件
  • インテリジェントデータ管理:3件
  • 製造戦略:2件
  • その他(ウルトラクリーンテクノロジー):4件

となっていた。

発表企業・大学別では、東京工業大学(東工大)が3件、スイスに本拠を置くガス分析機器サプライヤINFICONが3件(うち2件は日本法人であるインフィコン)、東芝、ソニー、ニューフレアテクノロジー、台Macronix、Tower partner Semiconductor(旧タワージャズパナソニックセミコンダクタ)、EES(Equipment Engineering System)プロバイダーの韓BIStelが各2件、その他が各1件となっていた。東工大を筆頭に、名古屋大学、筑波大学、横浜市立大学、滋賀県立大学と、例年に比べて大学からの発表が多い内容となっていた。

また、日本の半導体材料メーカー(JSR、東京応化、トクヤマ、大阪インク、JX日鉱、フジミ)からの発表件数が日本の半導体製造装置メーカー(東京エレクトロン、SCREEN、ニューフレア)からの発表件数を超えたのも初めてのことである。

最優秀論文には、ルネサス エレクトロニクスの「インライン欠陥分類のためのデータ拡張を使用した畳み込みニューラルネットワーク(CNN)トレーニングデータの最小化」が選ばれた。製造歩留まり低下の原因であるインライン欠陥分類へのAIの活用というホットなテーマである。

優秀論文は各分野から以下の14件が選ばれた。なお、原題はすべて英語であり、和文タイトルは著者が和訳したものであることをあらかじめ述べておく。

インテリジェントデータ管理分野

  • マシンラーニングを活用したCMPプロセスの最適化(Macronix International)

プロセス管理・制御部門

  • トレンチ角度とウェハ反りの相関を調べることによるトレンチフィールドパワーFETの品質管理(東芝デバイス&ストレージ)
  • ロボットのエラーを防止するためのハーモニックセンサを用いたニューラルネットワークに基づく欠陥検出分類(パナソニック)
  • オプティカルエミッションスペクトロスコピーのシーズニング最適化(東京エレクトロン)
  • 半導体プラズマエッチャの予防保全のためのメンテメンテナンス計画更新法(日立)
  • 開発段階のパラメータ不良のデバイス物理とビッグデータを組み合わせた迅速な解決法(Tower Partners Semiconductor)
  • ベイズモデルを用いた品質向上のための統計的プロセス制御(キオクシア)

プロセス最適化

  • 顕微鏡下でのゼータ電位測定法(フジミ)
  • シリコン基板への逐次リンドープを用いたトレンチフィールドプレートパワーMOSFETのプロセス最適化(東芝デバイス&ストレージ)
  • Hfを用いたMONOSダイオード製作のためにHfNをプラズマ酸化によって形成したHfONトンネル層の等価酸化膜厚のAr/N2プラズマスパッタリング圧力依存性(東工大)
  • シリコン表面を平たん化して作成したMISFETのhigh-k HfN多層ゲート絶縁膜(東工大)

歩留まり向上分野

  • 4H-SiCエピタキシーのCVD反応で発生する副生成物による悪影響の軽減(ニューフレア)
  • AIを用いた自動欠陥分類におけるライン間ブリッジ欠陥分類の改善(Macronix International)
  • 多品種半導体製造におけるチャンバーやレシピに依存しないFDC(欠陥検出分類)指標(Tower partners Semiconductor)

なお、学生が発表した論文の中から最優秀な論文に授与される学生論文賞には、東工大の「シリコン表面を平たん化して作成したMISFETのhigh-k HfN多層ゲート絶縁膜」が選ばれた。

このほか、「再溶解法および直接法による有機溶媒中の超微量金属分析」(栗田分析サービス)がクリーン化技術分野の唯一の発表として注目されたほか、SCREENが異種集積のための新しい測定ツールを備えたハイスループットイメージングシステムの紹介を行っていた。

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