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【重要ニュースまとめ(1/21~1/27)】BraveがIPFSへの対応を開始。新型コロナウイルスのワクチンをブロックチェーンで管理する試みも | 仮想通貨コラム | 仮想通貨の比較・ランキングならHEDGE GUIDE

今回は、1月21日〜1月27日の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. BraveがIPFSのサポートを発表
  2. ハワイ州でサンドボックス制度が加速
  3. 新型コロナウイルスのワクチン管理にブロックチェーンを活用
  4. まとめ、著者の考察

今週(1月21日〜1月27日)の暗号資産・ブロックチェーン業界は、BraveがIPFSへのサポートを開始したことでWeb3.0への道がまた一歩進みました。ハワイ州では暗号資産のサンドボックス制度が推進される中、新型コロナウイルスのワクチンをブロックチェーンで管理しようとする取り組みも出てきています。本記事では、1週間の重要ニュースを解説と共におさらいしていきます。

BraveがIPFSのサポートを発表

デフォルトで広告を非表示にすることで人気を集めているWebブラウザBraveが、Protocol Labsと共同で次世代通信プロトコル「IPFS」へのサポートを開始しました。これにより、例えば以下のWebサイトをBraveで閲覧することができるようになります。

ipfs://bafybeiemxf5abjwjbikoz4mc3a3dla6ual3jsgpdr4cjr3oz3evfyavhwq/wiki/Vincent_van_Gogh.html

最新版のBraveを使用すると下図のようなWebサイトが表示されます。これは、Google ChromeやSafariでは閲覧できません。いずれもIPFSのサポートを行なっていないため、Webサイトの元になるデータファイルを取得することができないからです。

IPFS(InterPlanetary File System)は、Web3.0で使用される通信プロトコルとして開発が進められています。開発を主導するのは、ICOで280億円以上を調達し話題となったFilecoin(ファイルコイン)を手がけるProtocol Labsです。

Web2.0で使用されている主要通信プロトコルであるHTTPを代替すると期待されており、分散型の通信方式を採用しています。

HTTPの場合、Webサイトを表示するためのデータファイルはどこか特定のサーバによって管理されています。「http://~」で始まるURIは、データファイルが管理されているサーバの場所を指定していることを意味するものです。

この場合サーバは常に安定稼働が求められ、突発的なアクセス増などによりサーバがダウンが発生すると、そこに保管されているデータファイルにアクセスできなくなります。その結果、Webサイトが利用できなくなってしまうのです。

サーバの定期的なメンテナンスやWebサイトの読み込みが遅くなるのは、この集権的な管理体制が大きな原因となっています。

これに対してIPFSは、データファイルを複数のサーバで分散管理するため、仮にどこかのサーバに不具合が生じても違和感なくWebサイトを利用することが可能です。これは、「ipfs://~」で始まるURIを指定するIPFSがコンテンツ指向型のプロトコルを採用していることに起因しており、サーバを指定するのではなくデータファイルを直接指定する方式によります。

ブロックチェーンの実現するWeb3.0では、このIPFSが非常に重要な役割を担うと考えられています。ブロックチェーンを使ってデータを分散管理したとしても、そこにアクセスするための手段が分散型になっていなかった場合、結果的にそれは非中央集権ではなくなってしまうからです。

また、IPFSを稼働させるためにはFilecoinのような分散型ストレージも欠かせません。Filecoinは、全世界に存在するコンピュータの空き容量(ストレージ)をシェアするサービスです。

Protocol Labsによると、全世界に存在するデジタルデバイス内のストレージのうち、約50%が利用されていないアイドル状態にあるといいます。Airbnbが全世界の空き家を有効活用するサービスであるのと同様、Filecoinは全世界の空きストレージを有効活用するサービスであるといえるでしょう。

Filecoinでは、ストレージを貸し出すと報酬として独自トークンFILを受け取ることができます。逆に、ストレージを借りる場合にはFILを支払う必要があります。

Filscanによると、現時点で世界中から1,200人を超えるマイナーが参加し、集まったストレージの総容量は2EB(エクサバイト)に及んでいます。これは、これまで人類が残してきた全書物の70倍に相当するサイズです。

このFilecoinをストレージとして使用し、IPFSを繋ぐことで分散型の通信プロトコルが完成するという関係性になっています。

今回、BraveはこのIPFSへの対応を開始しました。プロトコルのような目に見えない基盤システムの場合、どれだけ革新的な仕組みを構築しようと対応するアプリケーションが増えないことには意味がありません。

そういった意味で、今回のBraveの取り組みは評価されるべきだといえるでしょう。

【参照記事】Brave Integrates IPFS
【参照記事】Braveが次世代通信プロトコルIPFSのサポートを発表。「ipfs://~」でWebサイトの表示が可能に

ハワイ州でサンドボックス制度が加速

米国ハワイ州が、暗号資産に関するサンドボックス制度への参加企業を新たに募集しました。この制度は、「Digital Currency Innovation Lab(DCIL)」と呼ばれ、2020年3月より開始されているものになります。

米国では、国全体に適用される法律と各州によって整備されている州法との二つが並存しています。ハワイ州は、米国の中でも暗号資産に厳しい規制を整備していることで有名です。具体的には、暗号資産取引所を運営する際に顧客の暗号資産と同額の法定通貨を保有しなければならない「ダブルリザーブ制度」を導入している点があげられます。

これは、米国最大手の取引所でも満たすことができないであろう厳しい条件です。

そんなハワイ州が、2020年3月より取り組んでいるサンドボックス制度をより積極的に進めていく方針を明らかにしました。今回は、サンドボックスに参加する企業を新規募集する第二弾の取り組みです。

参加を承認された企業は、2022年6月まで事業を運営するための条件とライセンスの一部が免除されるといいます。つまり、サンドボックス内では先述のダブルリザーブ制度が適用されないことになるのです。

ハワイ州がサンドボックスを適用している理由は、「デジタル通貨導入による経済の拡大」「事業者への指導を通した消費者保護」「適切な法律を整備するためのデータ蓄積」の3つだといいます。

日本でも、これまでに度々開催されてきた行政への提言の場で、サンドボックス制度の導入ないし特区の設立が意見されてきました。私自身も、内閣官房主体の「ブロックチェーンに関する関係府省庁連絡会議」や「ブロックチェーンに関する官民推進会合」などで提言していますが、未だ具体的な動きは見られていません。

【参照記事】DCCA NEWS RELEASE: HAWAII’S DIGITAL CURRENCY SANDBOX SEEKING TO EXPAND THE PLAYING FIELD

新型コロナウイルスのワクチン管理にブロックチェーンを活用

米国の人気暗号資産メディアDecryptが、新型コロナウイルスのワクチンに関するデータをブロックチェーンで管理するHedera社でCEOを務めるMance Harmon氏へインタビューを実施しました。

2020年から続く新型コロナウイルスが現在も猛威を振るっているため、ワクチンにかかる期待は相当なものがあるでしょう。現状、ワクチンを管理するためには難度の高い条件が課されています。

例えばファイザー社のワクチンは、半年以上保存させるにはマイナス60℃~80℃で管理する必要があるといわれています。実際に我々が接種する際には、冷蔵保存されたものを使用するため2℃~8℃の状態となり、この状況ではわずか5日間しか保存できないとのことです。

そのため、この管理条件を満たすことは非常に難しく、条件を満たしていないワクチンが存在してしまうといった状況も可能性として否定することはできないでしょう。これに対してHarmon氏は、ワクチンに関するデータをトラッキングするにはブロックチェーンが最適であると述べています。

現在、イギリスにある病院ではHedera社の開発する独自ブロックチェーン「Hedera Hashgraph」を使用して、ファイザー社のワクチンに関するデータを管理しているといいます。具体的には、冷蔵庫の温度計に設置されたセンサーを通して、自動的に温度が記録される仕組みです。

温度計からブロックチェーンに対して自動的に温度が記録されるため、一切の人手を介すことなくデータを管理することができます。ブロックチェーンを活用することでデータを改ざんすることができず、安全な状態で保管されていたワクチンであることを証明することも可能になるのです。

これまでブロックチェーンが活用されるシーンは、どうしても金融やエンタープライズといった我々の生活に身近なものではありませんでした。新型コロナウイルスのワクチンは、全世界に行き渡るであろうものだと考えられます。

今回このような身近な場面でブロックチェーンが活用されているという事実は、今後のブロックチェーン市場をより一層拡大させるきっかけになるかもしれません。

【参照記事】How Hedera is Ensuring the Safety of Pfizer’s COVID Vaccine
【参照記事】Jan 25: Smart Contracts on Bitcoin & COVID Vaccine Uses Blockchain

まとめ、著者の考察

Braveのような実際に多くのユーザーを抱えるWebブラウザがIPFSのサポートを開始したことは、プロトコルレイヤーに取り組む事業者にとっては非常に明るいニュースだったのではないかと感じています。

目に見えないものを開発している人々にとって、ブラウザのような目に見える状態で社会に浸透していく様を見るのはこの上ない喜びがあるからです。IPFSは分散型のP2P方式になっており、従来のクライアントサーバ型よりも通信速度で著しく劣る点が課題です。この点をどのように解決していくかが、今後のIPFSにとって重要なテーマになると思います。

ハワイ州のサンドボックス制度については、日本でも同様の取り組みを実施してもらいたいと切に感じています。例えば、カストディ規制などでサンドボックスが存在していれば、例えば「1万円以下であれば顧客の資産を預かる際に交換業のライセンスは不要になる」といったものが考えられます。

このサンドボックスさえあれば、日本国内でもパブリックブロックチェーンを使った事業を、ユーザーフレンドリーな形で行うことができるのです。現行法は取引所が主体となって整備されているものであり、法改正にあたってはテクノロジーの側面を取りこぼさないようにしなければなりません。

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田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。

田上智裕


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