
ロボット・テクノロジーから医療への挑戦:日医大・早大研究者交流会を開催 – 早稲田大学 研究活動
ロボット・テクノロジーから医療への挑戦:日医大・早大研究者交流会を開催
2022年4月7日(木)、「2022年度日本医科大学・早稲田大学研究者交流会」をオンラインと対面とを組み合わせたハイブリッド型にて開催しました。日本医科大学と本学との連携は、2009年の大学間協定にはじまり、2020年1月の研究面における実質的な研究連携への合意、2020年7月の本学附属校・系属校との高大接続連携に関する協定へと発展してきました。日本医科大学で選抜された3年生を、本学の理工系研究室に3週間迎え入れて交流を図る「研究配属」をすでに実施しており、着実に歩を進めています。
本交流会は、2021年6月に開催した合同シンポジウムでの議論を踏まえ、8月に開催した研究会を経て、具体的な連携の糸口を見出すことを目的として開催されました。

手前から、早稲田大学研究推進部長・理工学術院教授の合田亘人、同副部長・理工学術院教授の尾形哲也、
教務部副部長・理工学術院教授の後藤正幸、理工学術院教授の澤田秀之、理工学術院教授の岩田浩康
冒頭、本学総長の田中愛治は、「日本医科大学における最先端の医学に、本学の理工学の力を添えさせていただくことで、日本の医学の進展に貢献したいと願っている。本交流の継続にあたっては、日本医科大学の弦間学長の強い後押しに感謝申し上げる」と、述べました。これを受けて、日本医科大学学長の弦間昭彦氏からは「研究面での議論が順調に進められていることを、喜ばしく思っている。早稲田大学の高い理工学研究や技術を教えていただき、我々としても実際の利用場面を想像することができている。このような機会を生かして、医理工連携を進めていきたい」と、ご挨拶をいただきました。さらに、本学副総長の笠原博徳からも、「本日の交流・見学がきっかけとなり、病気の皆様の命を救えたり、痛みなどから解放して明るい生活を取り戻せたりするような、研究協力に発展できることを願っている」と期待が述べられました。

左から、早稲田大学総長の田中愛治、日本医科大学学長の弦間昭彦氏、早稲田大学副総長の笠原博徳
挨拶ののち、本学研究推進部副部長・理工学術院教授の尾形哲也が進行を務め、早稲田大学3名、日本医科大学1名による研究紹介と意見交換を行いました。1名の研究紹介が終わるごとに、途切れることなく複数の研究者から質問やコメントがあり、非常に活発な議論が続きました。研究紹介を行った本学研究者の研究室見学では、学生らの協力のもと、様々なデモンストレーションも交えながら、より具体的な研究説明を行い、日本医科大学から参加した研究者の方々に理解を深めていただきました。

本学リサーチイノベーションセンター(121号館)にある岩田研究室を訪問し、実機を動かしながら研究概要の説明を受けている様子
最後に、2022年9月に予定されている第2回合同シンポジウムも見据えながら、連携推進に関しての意見交換を行いました。日本医科大学の3年生を本学理工系研究室で3週間受け入れる「研究配属」の話題では、テーマの工夫や双方の学生が受けている良い影響などが語られました。
総括として、日本医科大学医学研究科長の森田明夫氏から「実質的な人材交流に進められると良い。若手の先生方がペアを組み、アイデアの実現に向けて取り組めると良いのではないか。また、早稲田の大学院生が臨床現場に参加し、医療現場で必要とされている技術等を考えてもらうような取り組みができないか。一例であるが、医師の勘所や熟練度に依存している様々な情報をデータ化するということなどは、非常に有効性が高いと考えている」、本学の尾形から「産業用ロボットの場合は、実機を見て、課題を把握する機会を多く持つことができているが、医療用となると機会は多くない。日医大に伺い、実機をみながらアイデアを出し、実現に向けてともに考えていければと思う」とのコメントが寄せられました。最後に本学研究推進部長・理工学術院教授の合田亘人が「医理工連携という言葉が世に出て久しいが、臨床現場への実装レベルはまだ不十分。言葉だけではなく、実際に見て、触って、作って、試してということを繰り返していくことが重要だと考えている。医療の現場に我々理工側が入っていく必要があるものの、患者様に不利益があってはいけない。我々も覚悟を決めて臨まなければいけない。良いものを医療現場に届けたいという思いは同じであると思うので、今後ともご支援をお願いしたい」と閉会の挨拶を述べ、締めくくりました。

日本医科大学医学研究科長の森田明夫氏
研究紹介者およびタイトル
- 澤田 秀之(早稲田大学 理工学術院 教授)「ロボティクス、情報制御工学」
- 岩田 浩康(早稲田大学 理工学術院 教授「XR/AI/ロボット技術を駆使した先端医療ロボティクス」
- 尾形 哲也(早稲田大学 理工学術院 教授)「AI(深層学習)のロボットへの応用」
- 臼田 実男(日本医科大学 呼吸器外科学 教授)「ロボット支援下手術におけるメディカルニーズ~肺切除術の精度向上を目指して」
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