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知財窃取巡る「見えない手」-中国でエリートになった元エンジニア – Bloomberg

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オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングほど世界的な半導体不足の恩恵にあずかる企業はほとんどない。同社の製品は最先端半導体の製造に不可欠だ。

  今年2月公表の281ページに及ぶ年次報告書(2021年版)は楽観的だが、その中でごく簡単に開示された情報は、知的財産窃取を巡る何年にもわたる闘いと5560億ドル(約74兆円)規模の半導体業界が直面している脅威を示唆している。

  ASMLは中国当局が自国で最も有望なテクノロジー企業の1社とみている東方晶源微電子科技がASMLの企業秘密を盗んだ可能性があると主張。ASMLは報告書で、東方晶源が米シリコンバレーにかつてあったXTALと関係があると指摘しているが、ASMLはXTALを知財窃取で提訴していた。

Dongfang Jingyuan Electron Ltd.

東方晶源微電子科技の本社(北京)

Source: Bloomberg

  米カリフォルニア州で18年に行われた裁判の記録を見ると、詳しいことが分かる。当時ほとんど注目されなかった訴訟だ。東方晶源とXTALは本質的に同じ企業で、共に元ASMLエンジニアの俞宗強氏が14年に設立したとASMLの弁護士は裁判所に説明。両社はASMLのテクノロジーを入手し中国に移転するという同じ目標に向け連携していたという。同弁護士は自国内で半導体産業育成を目指す中国は、欧米企業を食い物にすることが多々あるとも論じた。

  裁判記録によると、訴えの内容はASMLの極めて重要なソフトウエア向けの200万行に及ぶソースコード全てが1人のエンジニアによって盗まれ、そのソースコードの一部は米国と中国にいるXTALと東方晶源の従業員に共有されたというものだ。

「偶然ではない」

  ASMLのパトリック・ライアン弁護団長は裁判所で「偶然ではない。中国政府のためにテクノロジーを入手する企てだ。他の何物でもない」と語った。XTALは敗訴し、破産手続きを申請。同社は8億4500万ドルの支払いを命じられたが、資金の「回収は不可能」だとASMLはみている。

  この記事に関しASMLはコメントを控えた。東方晶源の担当者はコメントしなかった。ASMLから企業秘密を盗んだとしてカリフォルニア州で逮捕状が出されている俞氏(60)からのコメントは得られていない。会社の発表資料など中国の文書によれば、俞氏は現在、中国政府から大きなサポートを得て北京で東方晶源を経営している。

ASML’s Ascent

The European company has benefited from the chip boom in recent years

Source: Bloomberg


  ASMLが裁判所や年次報告書で示した主張は、中国企業の知財窃取を追及しながら、中国で事業の拡大を図るという同社の難しい立ち位置を反映している。

  中国は世界最大の半導体市場だが、今のところ半導体製造では後れを取っており、外国企業のテクノロジーに依存。米国の制裁により最新機器へのアクセスが限定される中で、最先端の半導体を国産技術で製造することは中国の優先課題だ。こうしたハードルを乗り越えようと、1500億ドル規模の半導体奨励策を含め、国内での製造を加速しようと前例のない対策を中国政府が打ち出したのが14年だ。

  米連邦捜査局(FBI)によると、中国は政府の利益にかなった技術を盗むことを人々に奨励。「最先端テクノロジーの飛躍が必要なことを認識」している中国は「イノベーション(技術革新)という長くつらい仕事に取り組む代わりに米国の知財を盗み、それを用いて犠牲となった米企業と競争している」とレイFBI長官は指摘している。

マスタープラン

  米国の国家安全保障当局が説明している先端技術を入手する中国の手口を示す具体例がASMLの訴訟だ。これは一連の戦略であり、政府からの誘因や現場にいる従業員による盗み、それに加え、少なくとも幾つかの事例では、犠牲となった企業が中国市場へのアクセスを維持・強化することを望んでいるため口を開こうとしないことが重なっていると米当局はみている。

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