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ガートナー、2021年以降に向けたIT関連の重要な展望を発表 – ZDNet Japan

 米Gartnerは、2021年以降に向けたIT関連の重要な戦略的展望を発表した。これらの展望は、リセットと再スタートを経て、不確実性の高い世界に対応していく上でのテクノロジーの役割に関するものとされている。

 同社は「全てをリセットする」未来のテクノロジーには、(1)企業におけるイノベーションと効率化を大幅に推進し、(2)これまでのテクノロジーよりも効果的であり、(3)社会に革新的なインパクトを与えるーーという共通点があるとしている。

 重要な戦略的展望トップ10のうち、最初の展望は「2024年までに従来型の大企業CIO(最高情報責任者)の25%は、デジタルビジネスの運用成果に対して説明責任を持ち、実質的な『代理COO(最高執行責任者)』になる」というもの。Gartnerはデジタルビジネスの運用成果に対して説明責任を持つCIOが増えるにつれ、高度にデジタル化された従来型企業のCIOがCEO(最高経営責任者)に直属するトレンドが優勢になるとしている。

 次は「2025年までに職場での会話の75%は録音・分析され、組織にとっての新たな価値やリスクの発見に利用される」というもので、クラウド型のミーティングソリューション、メッセージングプラットフォーム、仮想アシスタントなどでの会話は分析され、その結果が、現行の法規制を順守するためだけでなく、将来のパフォーマンスと行動を予測するためにも使用されるとしている。

 3番目は「2025年までに従来型のコンピューティングテクノロジーは、ニューロモルフィックコンピューティングといった新しいパラダイムへのシフトを迫るデジタルの壁にぶつかる」というもの。今後は膨大な計算能力を必要とするテクノロジーが普及し、汎用プロセッサーはデジタルイノベーションにはますます不向きになるとしている。今後10年にわたり超並列コンピューティング、DNNチップ、ニューロモルフィックコンピューティングなど高度なコンピューティングアーキテクチャーが進化していき、長期的には、プリンテッドエレクトロニクス、DNAストレージ、ケミカルコンピューティングなどのテクノロジーが、より広範なイノベーションの機会をもたらすとしている。

 4番目は「2024年までにデジタルビジネスの30%では、既存のストレージテクノロジーを圧倒する勢いで急増するデータに対処すべく、DNAストレージの試行が必須になる」というもの。Gartnerでは、現行のストレージテクノロジーには、「データを破損することなく保管できる期間」という点で深刻な限界があるとしている。これに対してDNAストレージでは、デジタルデータはヌクレオチドから成る合成DNA鎖のペアの中で符号化され、従来のストレージメカニズムでは不可能だった長期保管が可能になるとしている。

 5番目は「2025年までに、物理的なエクスペリエンスをベースとしたビジネスの40%は、有償の仮想エクスペリエンスを広く取り入れることで業績を改善し、競合他社を上回るパフォーマンスを挙げる」。モノのインターネット(IoT)、デジタルツイン、仮想現実/拡張現実(VR/AR)の機能が進化し、より魅力的で低コストなイマーシブ(没入的な)エクスペリエンスがこれまで以上に幅広い消費者に提供される中、物理的なエクスペリエンスを提供している企業は、仮想的なイマーシブエクスペリエンスの創出、提供、支援に関わる分野のスキル向上および獲得に着手する必要があるとしている。

 6番目は「2025年までに、世界の製品や農産物の20%以上は、顧客が実際に手に取るまで人間に触れられることはなくなる」というもの。新興テクノロジーによって人間の作業の自動化が進み、新型コロナウイルス感染症の大流行がこのトレンドをさらに推し進めているとし、自動化が新たな必須課題になるにつれ、「工業製品や農作物の顧客が、それらに最初に触れる人間となる」ケースが増えるという。Gartnerは、自動化は競争優位性とディスラプション(破壊)を生む新たな源泉だとし、CIOは、将来に向け自社のプロセスを更新するに当たりハイパーオートメーションを「取り組み」ではなく「理念」として捉えるべきだとしている。

 7番目としては「2025年までに、顧客はフリーランスのカスタマーサービスプロフェッショナルに代金を支払い、自らのカスタマーサービス関連問題の75%を解決する」が挙げられた。顧客は、企業に直接連絡するのではなく、支援してもらいたいテクノロジー専門家であるフリーランスのカスタマーサービスプロフェッショナルに頼るようになるとし、CIOは、サードパーティのカスタマーサービスプロバイダーから、カスタマーエクスペリエンス/ブランド/収益化に関するリスクを突き付けられるよりも早く、こうしたフリーランサーとの提携を目指す必要があるとしている。

 8番目は「2024年までに、主要な組織の30%は新たな指標である『社会の声』を使って社会問題に働き掛け、自社のビジネスパフォーマンスへのインパクトを評価する」としている。「社会の声」(Voice of Society)とは、あるコミュニティーに属する人々が共有する視点のことで、さまざまな倫理的価値観を表現したり一般化したりするのを助長するものと定義されている。企業は「社会の声」をはじめとする、世論に基づいた評価指標も視野に入れるようになっている。そして、これらの評価指標は今やクリックスルー分析といった具体的な指標と同等の信頼性を有しているという。今後は社会の変化に即応できるビジネス体制を構築するためにも、こうした測定は経営幹部の必須課題となっていくだろうとしている。

 9番目は「2023年までに、大規模な組織は、オフィススペースの用途を社内の保育/教育施設に転じることで、従業員定着率を20%以上高める」というもの。2021年初頭までに私設保育所の5分の1が完全に閉鎖されるとGartnerは予測しており、大規模な組織は要求の拡大に対応すべく、施設の空きスペースの用途を保育サービスや教育サービスといった社会的付加価値の高いサービス向けに転じ始めるだろうとしている。

 10番目は、「2024年までに、CEOサーベイに回答する大規模組織の30%は、ユーザーが生成したコンテンツ向けのコンテンツモデレーションサービスを『CEOの最優先課題』に挙げる」というもの。Gartnerは、コンテンツモデレーション/ポリシー適用/報告サービスに投資することは、自社サイト上のコンテンツが今後どのような影響を持ち得るか企業が把握する上で極めて重要になるとしている。ウェブサイトやアプリのパブリッシャーは、安全確保のためのポリシーを適用することで検閲を行っていると非難されないよう、過剰な対策は避けざるを得ない。一方で、世論の対立を招くようなコンテンツを中和する責任をブランドの広告主が負うようになり、コンテンツモデレーションの業界標準が整備されていくだろうとしている。

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