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世界最先端の自動運転レベル4を公道で試す【石井昌道の自動車テクノロジー最前線 第6回】|中古車なら【グーネット】

車の最新技術 [2021.05.14 UP]

世界最先端の自動運転レベル4を公道で試す【石井昌道の自動車テクノロジー最前線 第6回】




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この記事の目次

文●石井昌道 写真●ユニットコンパス

 前回に続き、SIP 第2期 自動運転のメディア向け合同試乗会の話題だが、前述のスバル・レヴォーグ、日産スカイライン、ホンダ・レジェンド、トヨタMIRAI/レクサスLSは最先端の市販車であり、いわば自動運転技術の現在地。それに対して今回紹介するのは、実験用の車両で近未来の姿だ。それゆえ、ルーフ上に大きなセンサを搭載しているなど市販車では見られない、いかにも実験車両といった生々しさがあり、また、試乗・取材する機会としては市販車以上に貴重だったと言える。

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「自動運転+信号情報」でなめらかな自動運転を実現


独自のカメラ、ミリ波レーダー、LiDARなどのセンサを搭載して一般道での自動運転、レベル4相当の実験を行っているコンチネンタルのテスト車両

独自のカメラ、ミリ波レーダー、LiDARなどのセンサを搭載して一般道での自動運転、レベル4相当の実験を行っているコンチネンタルのテスト車両

 コンチネンタルは、タイヤでの知名度が高いがドイツの超大手サプライヤーであり、パワートレーンにシャシー系、システムにサービスソリューション、そして先進運転支援システムを含む自動運転技術まで手がけている。そういった包括的な取り組みという背景もあるからか、自動運転ではシームレスモビリティというコンセプトが掲げられている。だからこそ、SIPの実証実験では乗用車タイプとコンパクトなバスのような無人運転を目指したタイプとの2種類を用意。乗用車タイプは都市間の高速移動から一般道を走って、どこか大きな駐車場などに駐め、そこから最終目的地までのラストワンマイル的な移動は無人運転バスで繋ぐというシナリオをもって実験にのぞんでいる。

 乗用車タイプは市販のフォルクスワーゲン・パサートに、独自のカメラ、ミリ波レーダー、LiDARなどのセンサを搭載して一般道での自動運転、レベル4相当の実験を行っている。お台場近辺での実験走行では自動運転+信号情報によって、信号が急にかわって急加速や急減速が強いられるジレンマゾーンの回避に非常に有効であり、こういったインフラ情報がレベル4ではほぼ不可欠であると認識しているという。また、バレーパーキングシステムも搭載しているので、ドライバーによる車庫入れは不要だ。

実用化に向けて公道でおきるさまざまな事象をデータ収集中


無人運転の乗合バスとして企画されているコンチネンタルの自動運転車

無人運転の乗合バスとして企画されているコンチネンタルの自動運転車

 無人運転バスは低速走行のため、周囲の交通参加者へもたらす影響をみているという。実際に自動車が走り、自転車や歩行者もいるリアルワールドのなかで実験ができているのは、グローバル企業のコンチネンタルでも日本だけで、貴重なデータがとれているという。今回、試乗させてもらったが、最高で15km/hと低速走行ではあるものの、乗客としてはそれほどもどかしさを感じず、想像以上に快適な移動だった。また、他車との譲り合いが生じたときにどう対応するか、など実際の交通であり得るシチュエーションに踏み込んだ対応・制御を行っているなど興味深かった。

 技術的な注目ポイントはミリ波レーダーを自車位置特定に用いていることだ。距離測定用のセンサとして広く普及しているミリ波レーダーはリーズナブルであり、いまのところ高価なLiDARを搭載するのが難しいスタンダードなモデルの運転支援高度化、あるいはLiDAR搭載車の冗長性を高める機能としても大いに効果を発揮しそうだ。

業界をリードする高性能LiDARを組み込んだテスト車両


片側3車線の大きな交差点を自動運転で右折するヴァレオのテスト車両

片側3車線の大きな交差点を自動運転で右折するヴァレオのテスト車両

 フランスのヴァレオもまた超大手サプライヤーであり、ブレーキシステムや空調などから始まり、いまでは自動車のあらゆる分野を手がけている。日本でも様々な研究開発を行っているが、自動運転技術の開発も重要なミッション。2018年には、ハンズオフが可能な自動運転の実験車両で日本を一周するハンズオフツアーも行っている。

 お台場周辺では、市販車のレンジローバー・イヴォークに、すでに市販化されている自社のセンサ類を装着してレベル4相当の実験を行っている。ヴァレオはカメラ、ソナー、ミリ波レーダー、LiDARとおおよそ自動運転技術に用いられるすべてのセンサを手がけているが、なかでもLiDARでは業界をリード。SCALA2と呼ばれる最新世代は垂直方向10度、水平方向140度の広い視野角を誇る。これとダイナミックマップ、GNSSを組み合わせてセンチメートル単位での非常に高精度な自車位置推定をするヴァレオDRIVE4U Locateによって、一般道でも高度な自動運転を可能としている。実験車両に同乗させてもらったが、正確性の高い自動運転であり、お台場以外の一般道でもダイナミックマップさえ完成すれば問題なく走ってくれそうだという感触だった。

  • サプライヤー大手のヴァレオが手がけるテスト車両は、同社がすでに市販している部品で構成されている

    サプライヤー大手のヴァレオが手がけるテスト車両は、同社がすでに市販している部品で構成されている

  • LiDARを活用してGPSが不正確な状況でも正確な自車位置測位を可能としている

    LiDARを活用してGPSが不正確な状況でも正確な自車位置測位を可能としている

自動運転ソフトを無料OS化し、自動運転の普及を目指すベンチャー


「ティアフォー」は自動運転が実現した世界で求められるサービスを展開しようとしているベンチャー企業

「ティアフォー」は自動運転が実現した世界で求められるサービスを展開しようとしているベンチャー企業

 ティアフォーは自動運転のプラットフォームビジネスを行う日本のベンチャー企業。センサなどのハードウエアを販売しようというのではなく、パソコンやスマホなどにもあるOS(オペレーティングシステム)を開発し、それをオープンソース化することで自動運転の民主化を目指している。自動運転の実現で解放される時間や空間を活用したサービスビジネスを展開するのだ。

 トヨタのJPN TAXIに、各種センサ類と同社のソフトウエアを搭載した実験車両を10台ほど所有していて、2017年には日本で初めて公道でのレベル4相当の走行に成功。SIPの実証実験だけではなく、日本各地で様々な実験走行を行っている。

 じつは半年程前に西新宿地区で5Gを活用した実証実験で、同乗した同業者から「かっくんブレーキだった」と聞いていたのだが、今回の試乗会では減速がスムーズで快適だった。聞けば、常に制御をアップデートしている効果が表れているのだという。JPN TAXIのパワートレーンはちょっと古いタイプなので、アクセルレスポンスは鈍く、ブレーキはかっくん気味ではあるが、制御の進化によってはそれを補えることに感銘を受けた。パワートレーンが良くなれば、さらに快適性や制御の正確性も向上するだろう。

 ベンチャーらしく、柔軟な発想や自由な雰囲気がする企業カルチャーも素敵だ。


5Gなどの最新通信技術も取り入れ安全性が高い自動運転を実現しようとしている

5Gなどの最新通信技術も取り入れ安全性が高い自動運転を実現しようとしている

大学という研究機関の立場から自動運転時代に求められる技術を検証


金沢大学菅沼研究室では、自動運転やそのための地図作りなどについて独自の研究を続けている

金沢大学菅沼研究室では、自動運転やそのための地図作りなどについて独自の研究を続けている

 1990年代から自動運転の研究・実験に取り組んできた金沢大学は、レクサスRXをベースに各種センサ類を搭載した実験車両でSIPの実証実験に取り組んでいる。もともと、信号認識技術が、より高度な自動運転の研究に役立つとしてきたが、カメラで撮影している膨大な映像を活用することが走行映像データベースの構築をテーマとしている。

 長きにわたって実証実験に取り組んできているからか、同乗させてもらったRXはとてつもなくスムーズで一流のショーファーのようだった。自動運転の実験車両では、慎重を期すあまり加速が鈍かったり、逆に速くてドキドキしたりすることもあるが、速すぎず遅すぎずでちょうど良く、誰が乗っても快適であろうペースでお台場をスイスイと駆け抜けていった。

 自動運転の実証実験のオーソリティでもある菅沼教授に伺ったときろ、お台場地域は道幅が広く、交通量も極端に多くはないので、自動運転の実験車両にとってハードルはそれほど高くないものの、長大なトレーラーが多く走行していたり、それらが路上駐車していることもあるなど湾岸地域特有のケースに対応するのは難しい場合があるとのことだった。

 また、現在のところ、お台場地域では33箇所の信号に発信器を取り付け、実験車両はそれを受信して、信号の点灯色や残秒数を受け取って自動運転での有効性を検証している。すでに大いに有効だとの結果が出ているが、これを全国規模に展開するのは難しい。そこで、現在のV2I(ヴィークル・トゥ・インフラストラクチャー)からV2N(ヴィークル・トゥ・ネットワーク)、つまり発信器というインフラから、セルラーネットワーク(携帯電話などで用いられる無線方式)に切り替えるという試みを今秋からスタートさせる。

 ただし、信頼性や正確性などではハードルが高いのかと思いきや、菅沼教授いわく「V2Iは信号に近づいて初めて情報が得られるのに対して、V2Nでははるか手前から情報が得られるので、かえって良くなるでしょう。上手くいくと思いますよ」とのことだった。

 すでに多くの自動車にSIMカードが搭載され、自動運転やコネクテッドでは不可欠になるので、V2Nが実現すれば、ほとんどの場面で信号情報が得られることだろう。

 8社10車種が参加した合同試乗会では、自動運転の現在地と近未来を知ることができてたいへん興味深いものとなった。コロナ禍が収束し、もっと多くの方が体験できる機会が設けられることにも期待したい。


自動運転の研究について長い歴史を持つだけに、その完成度は非常に高い

自動運転の研究について長い歴史を持つだけに、その完成度は非常に高い

執筆者プロフィール:石井昌道(いしい まさみち)


自動車ジャーナリストの石井昌道氏

自動車ジャーナリストの石井昌道氏

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】は週刊連載です。次回のテーマは「自動運転レベル4を体験する」です。どうぞお楽しみに!

グーネット編集部

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クルマの楽しさを幅広いユーザーに伝えるため、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど
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みなさんの中古車・新車購入の手助けになれればと考えています。

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