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二つ星日本料理店主が創るこだわりそば 東京・外苑前|NIKKEI STYLE

人気のレストランが軒を連ね、アパレル関連のショップやオフィスも多い渋谷区神宮前エリア。おしゃれで洗練された街でありながら、緑が多く四季を感じられるこの地域に、2018年11月、手打ち十割そばの店「神宮の蕎麦(そば)」がオープンした。

東京メトロ外苑前駅、JR千駄ヶ谷駅から徒歩約7分。洋館のような建物の1階に構えるこちらの店は他店とは一味違うそばや一品料理を提供する店だ。

Summary
1.有名日本料理店の店主が出した手打ち十割そばの専門店
2.「鴨(かも)せいろ」は高級食材シャラン鴨、「天ぷらそば」は国産生き車エビ
3.料理人が手がけるそば店ならではの極上一品料理もぜひ味わいたい

店を手がけるのは「ミシュランガイド東京」で二つ星を冠する日本料理店の店主。そばを出す割烹料理店で修業し、そば打ちを習得した店主は自身の店でも「箸休め」としてそばを提供。そのそばが客に好評で、満を持して専門店を開業した。

店主は食材の生産地に足しげく通い、探求を欠かさない料理人。こちらの店でも素材に妥協せず、料理人ならではの技や発想を生かして「そば店のそば、ではなく、そこに付加価値を持たせた『料理人が作るそば』を提供したい」と言う。

そば粉100%の十割そば。つなぎを使わないのにのどごしが良い

そばはそば粉100パーセントの十割そば。十割そばはそば本来の香りが楽しめる半面、つなぎとして小麦粉を入れない分ツルっとしたのどごしが出ず、ぼそぼそとした食感になるのが通例だ。

しかし、この店の十割そばはのどごしの良さにもこだわっている。

つなぎなしでそばを打ち、さらにのどごしの良さを実現している要素のひとつはそば粉の粒子の細かさだ。現在使っているそば粉は北海道石狩沼田(雨竜郡沼田町)産のキタワセ種。大型の石うすで超微細に挽(ひ)いた粉を仕入れる。

その、細かく挽いたそば粉をベースに、粗挽きした「荒粉」、殻(から)のついた「玄そば」を挽いた粉を合わせて調整し、そばを打つ。

そば打ちを担当するのは店主の営む日本料理店で修業した料理人・竹内裕哉さん。

「せいろそば」は微細に挽いたそば粉で打った十割そば。「粗挽きせいろ」は荒粉の入ったそば。さらに「おかわりせいろ」をオーダーすると、一枚目のそばとは別の種類のそばが提供される。メニューにはないが、日によっては「玄そば」の粉が入ったそばが二枚目としてふるまわれることも。

そばのつゆは鹿児島県枕崎産の本枯節を数年熟成させ、うま味を引き出したカツオ節を使用。

魚臭さやえぐみがなく、すっきりしたうま味のあるクリアなだしが理想だという店主。カツオ節のうま味を100パーセント引き出そうとすると、余計なものまで出てきてしまうため、90パーセントを目指し、にごらずアクも出ないように、煮出す時間を短くとどめる。返し(しょうゆ、みりん、砂糖を混ぜたもの)に使うしょうゆは自然なコクがあり、大豆の味がしっかりと生きたものを選ぶ。

薬味のネギは長ネギの根に近い白い部分のみを使い、極薄に切って提供。ワサビは辛みがおさえられ、甘さとねっとり感がある静岡県産のものを出す。

店主のこだわりは料理だけではなく器にも反映されている。そばを盛るカゴは竹編みの職人が一つひとつ手作りした作品。食器も、店主の好きな陶芸家・川瀬竹春の陶磁器、永楽保全の骨董(こっとう)など、貴重な器を使っている。

そばのメニューの中でまずお薦めしたいのは「鴨せいろ」。

「鴨せいろ」には高級食材として知られるフランス産シャラン鴨を使っている。シャラン鴨は今やブランド化し、その名称は広く使われているが、こちらの店の鴨は本家本元ビュルゴー家のシャラン鴨。4代に渡って守られてきたビュルゴー家の伝統的な飼育条件のもとで大切に育てられた鴨は、うま味が凝縮して臭みがない。生産量が限られている希少な食材で、ガストロノミー(美食)の世界でよく名を聞くブランド鴨を、なぜ「鴨せいろ」に使おうと考えたのか。

「国産の鴨も含めていろいろ試しました。その中で、つゆにうま味がしっかり出ながら、肉そのものがジューシーさを保って味が残ったのがこの鴨だったんです。だしもおいしく、肉もおいしい。しかも、つゆはクリアで臭みがない」と店主。

鴨の強い香りで、つゆが鴨の風味に圧倒されるような味わいではなく、鴨のうま味とカツオだしのうま味が調和した繊細なひと品。写真に写っている鴨の身は一部で、椀の中にはしっかりしたボリュームの鴨肉が隠れている。焼きネギは鴨の脂身部分を軽くあぶった時に出た鴨脂で焼いてあり、ネギの甘みとトロッとした食感が楽しめる。「鴨せいろ」は高級食材の潜在能力を余すところなく堪能できる、こちらの店の看板料理だ。


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