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【重要ニュースまとめ(2/11~2/17)】DeFiをレイヤー構造で理解する重要性、FRBが調査レポートを公開。Kraken Venturesが発足、注力領域とは? | 仮想通貨コラム | 仮想通貨の比較・ランキングならHEDGE GUIDE

今回は、2月11日〜2月17日の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. FRBがDeFiレポートを公開
  2. Krakenがベンチャー投資ファンドを設立
  3. InstadappがDeFi Simulationをローンチ
  4. まとめ、著者の考察

今週(2月11日〜2月17日)の暗号資産・ブロックチェーン業界は、FRBのDeFi調査レポートやInstadappのDeFi Simulationなど、DeFiに関するニュースが話題となりました。新たに組成されたKraken Venturesでも、DeFiは注力領域としてピックアップされており、改めて市場の盛り上がりを感じさせています。本記事では、1週間の重要ニュースを解説と共におさらいしていきます。

FRBがDeFiレポートを公開

米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が、DeFiに関する調査レポートを公開しました。米国における中央銀行はFRBがその役割を担っていますが、実際に業務を行なっているのは管轄下の12からなる地区連邦準備銀行です。今回のレポートは、その1つであるセントルイス銀行から発表されました。

金融業界にパラダイムシフトを巻き起こすと言及されたDeFiについて、その具体的な中身をみていきましょう。

レポートでは、DeFiのエコシステムを下図のようなレイヤー構造で説明しています。DeFiに限らず、ブロックチェーンに関するエコシステムを概観する際には、しばしばこのようなレイヤー構造が用いられることが多いです。

  • Settlement layer(決済レイヤー):ブロックチェーンとネイティブアセット(例:BTCやETH)により構成。ネットワークはアセットの所有権を保証し、決済とコントラクトの実行を行う
  • Asset layer(資産レイヤー):決済レイヤーで発行される全てのアセットにより構成。ネイティブアセットとトークン(多くはERC-20で発行)が含まれる
  • Protocol layer(プロトコルレイヤー):DEXやレンディング、デリバティブ、アセット管理など特定のユースケースのために整備。通常はスマートコントラクトによって制御され、このレイヤーの各プロトコルはインターオペラビリティを有する
  • Application layer(アプリケーションレイヤー):プロトコルに接続するための窓口として機能。通常はWebブラウザによってアクセスされる
  • Aggregation layer(アグリゲーションレイヤー):アプリケーション層の延長線上にあり、複数のアプリケーションやプロトコルをまとめて管理。異なるアプリケーションやプロトコルに同時接続することで最適なサービス体験を提供する

今回のレポート以外にも、レイヤー構造を表現した様々な図が作成されています。下記のものは2019年7月にDavid Hoffman氏によって作成されたもので、DeFiに関するレイヤー構造の図としては最も知られているものです。

今ではイーサリアム以外にも少しずつDeFiのエコシステムは広がっていますが、2019年当時はイーサリアム=DeFiプラットフォームとなっていました。イーサリアム上に展開することで、その他のDeFiサービスとのコンポーザビリティを持たせることができる点が特徴です。

一方で、レイヤー構造であることのデメリットも存在します。今回のレポートでも言及されていますが、例えば下位レイヤーで障害が発生した場合に、その上に構築されている全てのレイヤーに被害が及ぶ可能性があります。

DeFiは非営利を前提に開発が進められることが多く、中にはリリースだけしてその後は放置されてしまうようなサービスも存在します。これに付随して、開発者以外のユーザーが各サービスの潜在的なセキュリティリスクを知ることが難しい点も、レポートでは課題の1つとして指摘されました。

とはいえ、DeFiは金融業界にパラダイムシフトを巻き起こすという点には同意です。DeFiは、金融包括の実現と金融サービス開発を民主化した点に本質的な価値があります。

特定の管理者を排除することで、利用者を選ばずに金融サービスを提供することができるため、これは金融包括そのものだと言えるでしょう。金融機関ではなく一部の金融機能を作るだけでも、他の金融サービスに接続することで足りない機能を補完することができます。

【参照記事】Decentralized Finance: On Blockchain- and Smart Contract-Based Financial Markets
【参照記事】Ethereum: The Digital Finance Stack | by David Hoffman | POV Crypto

Krakenがベンチャー投資ファンドを設立

大手暗号資産取引所のKrakenが、CVC(コーポレートベンチャーファンド)の設立を発表しました。1件あたり25万ドルから300万ドルの範囲で投資するとしており、対象地域は米国が50%、それ以外が50%となっています。

海外の大手取引所では、暗号資産の取引事業で得た利益をベンチャー企業に投資するための資金として活用するのが一般的です。Kraken以外にも、Coinbase(Coinbase Ventures)やBinance(Binance Labs)、Huobi Global(Huobi Labs)などが投資ファンドを組成しています。

暗号資産・ブロックチェーン業界では、取引所が唯一のプロフィットセンターになっており、獲得した利益をベンチャー投資に回すことでエコシステムの拡大を牽引しています。

日本企業の多くは、得た利益を社内に溜め込む体質が根付いてしまっているため、現時点でベンチャー投資を行なっている取引所は存在しません。日本市場が世界に遅れを取っている大きな理由の1つとも言えるでしょう。

Krakenは、昨年9月に米ワイオミング州で初の暗号資産銀行としてのライセンスを取得していました。これは、既存金融と暗号資産を繋ぐ重要な役割を担うものです。

今回設立されたKraken Venturesでは、取得したライセンスを最大限に活用することで主に以下の領域に投資していくとしています。

  • FinTech
  • Financial Infrastructure(サイバーセキュリティ、アナリティクス、デベロッパーツール)
  • Web3/DeFi
  • Customer Crypto Protocols
  • Digital Economies
  • Enabling Tech(人工知能、機械学習、ディープラーニング)

特徴としては、暗号資産・ブロックチェーンに限らず既存金融やAIなどにも対象を広げていく方針である点です。中でも、B2B FinTechとB2C/B2B Cryptoに注力していくとしています。

暗号資産・ブロックチェーン業界は、世界的に莫大なファンドマネーが流入している状況にあります。これは、昨今話題の大企業によるビットコイン大量購入とは異なり、創業直後のベンチャー企業への投資です。

業界問わず著名なAndreessen Horowitz(a16z)やUnion Square Ventures(USV)、Sequoia Capitalといった面々も、暗号資産・ブロックチェーン特化のファンドを設立するなどしています。

これらはいずれも株式だけでなくトークンも投資対象になるとしており、最先端の投資戦略を追求していると言えるでしょう。日本からもこういったトップティアに追いつける取り組みが出てくることを期待したいところです。

【参照記事】VC Investments & Portfolio Companies

InstadappがDeFi Simulationをローンチ

DeFiアグリゲーションサービスのInstadappが、仮想環境でDeFiプロトコルを動かすことができる「DeFi Simulation」をローンチしました。

Instadappは、UniswapやCompound、MakerDAOといった様々なDeFiプロトコルを1つのインターフェースで利用できるようにしたサービスです。DeFiにはもはや数え切れないほどのプロトコルが乱立しているため、Instadappのように1箇所で全てをまとめてあげることによりユーザーフレンドリーなサービスを提供することができます。

先述のFRBによるDeFiレポートでも紹介した通り、こういったサービスはアグリゲーションレイヤーに分類されます。

今回ローンチされたDeFi Simulationは、DeFiの各プロトコルを試しに使ってみたいというユーザー向けのサービスです。最大の特徴は、イーサリアムのガス代(手数料)が発生しないという点でしょう。

イーサリアムはスケーラビリティ問題によるガス代の高騰が問題となっており、それに伴いDeFiを気軽に使うことができない状況になっています。そのため、実際にDeFiを使ってみた結果、予期せぬガス代がかかってしまうといったことが少なくありません。

DeFi Simulationでは、本番環境でDeFiを使う前に仮想環境(テスト環境)で試してみることにより、ガス代がどれぐらいかかるかを把握することができます。

これは、DeFiを使ってみたことがないユーザーにとっても嬉しいサービスだと言えるでしょう。話題のDeFiを試しに使ってみたいけど手数料がかかるから手をつけられないでいる、といった人は多いと思います。

実際に本番環境のDeFiを使う前にDeFi Simulationで慣れておくことで、初心者でも安心して触れることができます。DeFi Simulationは、DeFi市場をさらに拡大するきっかけになりそうです。

【参照記事】Introducing DeFi Simulation – User’s gas FREE environment to try DeFi without spending a dime

まとめ、著者の考察

今週はDeFiに関する目立ったトピックが複数見受けられました。日に日に複雑な業界になっていますが、レイヤー構造や本質的な価値を理解しておくことで、何が重要で何がそうではないのかを見分けることができるようになると思います。

また、今後どのような領域が盛り上がるのかについて考察する際には、今回のKraken Venturesのような投資ファンドの戦略が参考になります。中でもa16zの「Crypto Fund Ⅱ」では、Web3やDeFiを含む複数の領域について非常に細かく説明されており、業界を見通す上で最適な情報源だといえそうです。

他にも、業界で最も有名な理論である「Fat Protocol」も、投資ファンドのUSVが提唱しました。このような世界最先端にリアルタイムで付いていくのは非常に難しいですが、少し遅れてでもキャッチアップしておくことで、少なくとも日本では最新の動向を発信することができるようになります。

【関連記事】イーサリアムとは?特徴・仕組み・購入方法

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田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。

田上智裕


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