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s**t kingz・shojiとGANMI・Sotaの「コレオグラフ研究会2021」 K-POPとJ-POPの振り付けの明確な違いは?(音楽ナタリー) – Yahoo!ニュース

【動画】Perfume LIVE 2021 [polygon wave] August 14,15 at PIA ARENA MM【For J-LOD LIVE】(他20件)

後編で彼らが意見を交わすのは、K-POPが世界的な飛躍を遂げる一方で、J-POPが地産地消であり続けてしまう理由など、国内外の振り付けを手がける2人だからこそ話せるテーマ。また海外を視野に入れた活動を続けるジャニーズや、海外のファンも多いPerfume、そして昨年鮮烈なデビューを果たしたBE:FIRSTについてもそれぞれが抱く印象を明かした。

取材・文 / 清本千尋
撮影 / 曽我美芽

■ 振り付け視点から見る、K-POPとJ-POPの音作りの違い
──前編では2021年に発表されたダンスパフォーマンスの中から、特にお二人が気になった6作品ずつについて語り合ってもらいました。改めて2021年に発表されたダンスの傾向がどんなものなのか聞かせていただけますか?

shoji(s**t kingz) 最初のほうでSotaも話していましたが、楽曲をコライトするのと同じように、いろんな振付師が少しずつ振り付けして、それをツギハギにつなぎあわせて1曲にするのがトレンドだと思いますね。そういうことをやりだしたのはBLACKPINKやBTSといったグローバルで活躍するアーティストたちで、すべてのブロックがサビに見えるというか、そのブロックごとに個性のある振り付けなのが特徴なんじゃないかなと。でもここからまた潮目が変わって、1人の振付師が1曲まとめて、なんなら1人の振付師が事務所の全グループの振り付けを請け負うような流れに変わりそうな気もしています。

Sota(GANMI) 俺はYGXのリジョンさんがこれからそういう人になるんじゃないかと思ってますね。ツギハギで振り付けが作られる中でも、ここ1年くらいで圧倒的にリジョンさんの振り付けがめちゃくちゃ増えてて、YGもきっと「この1人でよくない?」って思っているんじゃないかなって(笑)。

shoji そうだね。きっとそこからまた新しいトレンドが生まれていくんじゃないかな。やっぱりダンスの中心は今はK-POPだけど、K-POPって各事務所のトップがクリエイターやアーティスト出身で、しっかりトレンドを追いながら新しい才能を見出して、若いクリエイターをガンガン起用するようになって勢い付いたと思うんだよね。ダンサーや振付師もどんどん若い子が出てきている印象だし。でもそれはここ2、3年の話で、こんなことを言うと失礼かもしれないけど、昔の韓国のMVに出ているバックダンサーってたいしてうまくないんです。もともと韓国ではK-POPのダンスをカバーするのが流行っていて、誰かがビデオを観て覚えたK-POPのダンスを生徒たちに教えるダンススタジオだらけだった。その状況にストリートダンサーたちはずっと嘆いていたんですけど、今はカバーだけじゃなくて、ダンスを学べるスタジオも増えて、自らクリエイトするダンサーもどんどん出てきてカルチャーが盛り上がっているんですよね。

Sota あと、韓国からのオーダーってめちゃくちゃ細かくないですか? 数秒刻みで「ここはこういう感じ」「ここにはポーズが欲しい」というリクエストがあるし、キーワードも事前にしっかりと伝えられて、それを踏まえた振り付けを作る。僕は新参者なので、昔からK-POPがこうだったのかはわからないですけど、イメージが明確なのですごくやりやすいんです。K-POPってコレオグラファーよりもパフォーマンスディレクターに権力があるんですよね。パフォーマンスディレクター自身に明確に作りたいものがあるけど、詳細な振り付けについては職人に頼もうって、俺らに依頼が来るという。

shoji K-POPはダンスに興味がある人たちがディレクションをして、コレオグラファーに発注をしているのがわかるからこっちも気合いが入るよね。つい最近、日本のとある事務所の方と一緒に仕事をしていて、そのときに「振り付けって大事なんですね!」って言われて。そことは10年くらいお付き合いがあったので、思わず「今気付いたんですか!?」って驚いて立ち上がって叫んだよ(笑)。10年くらいご一緒してきているのに、俺らに何を頼んでいたんだと(笑)。でも確かにその人から「こういうダンスがいい」という具体的なオファーは一度も受けたことがなかったなって……。

Sota (笑)。K-POPって曲自体にしっかりダンスのガイドがあるじゃないですか。例えば「サビをキャッチーにしてください」と言われても、音自体がキャッチーじゃないと限界があるけど、K-POPの曲は振り付けをはめやすいリズムが最初から用意されているし、きっと音作りの時点で、大まかな振り付けのイメージがあるんだと思います。

shoji 「この音を拾ってください」と言わんばかりに用意されている音があって、キャッチーな振り付けを作るヒントになっているよね。それをどれだけ生かした振りを作れるのかが、コレオグラファーたちの腕の見せどころだと思う。世の中にはキャッチーじゃない音楽にキャッチーな振りが付いて化学反応が起きるみたいなこともあるけど、それはとてつもないギャンブル(笑)。パフォーマンスをイメージせずに曲を作って「なんとなくキャッチーな振り付けにしてください」は丸投げ過ぎなのよ(笑)。

Sota そうそう(笑)。そういうオファーが来ると、「俺らってやっぱり“乗っける”作業なんだな」って悔しくなるんですよね。1つの作品を作るためにもっと一丸になってやりたいのにって。

──耳が痛い関係者が多そうな話ですね(笑)。

shoji・Sota (笑)。

■ Perfumeにしかできないエンタテインメント、ジャニーズのダンスのうまさ
Sota いろんな相乗効果があって、K-POPはどんどんレベルが上がっているんだと思います。日本でもダンスカルチャーが盛り上がっている感じはありますけど、若い子がそれを生業にするためにがんばるみたいなことはあまり国内では起きていない気がしますよね。

shoji 俺らの世代がずっと牛耳っちゃってるからね(笑)。うまいダンサーはたくさんいるけど、次のクリエイターがあまり頭角を表していない印象がある。韓国は逆で、どんどん若いクリエイターたちが出てきている状態なんだよね。ありがたいことに、俺らの世代以降はYouTubeやSNSの力も借りながら海外への扉が開いて、s**t kingzは「BODY ROCK」、GANMIは「VIBE DANCE COMPETITION」というアメリカのダンスコンテストでいい成績を残して海外でも注目してもらえるようになった。海外での認知はダンサーにとってすごく大事で、ある種のブランドみたいなものになる。これをきっかけにs**t kingzはK-POPの振り付けの仕事が来るようになったし、GANMIもほかのダンスグループよりも1つ頭の抜けた存在になって。日本人で海外でも活躍しているダンサーと言えば、仲宗根梨乃さんやRIEHATAさんがいるけど、2人はやっぱりアメリカで人気を得てスーパースターになった。日本国内だけでダンスをやっているよりも、海外志向が強かった人たちが今こうやって評価されて活躍しているというのが現実なんだと思います。韓国はK-POP自体が海外で注目されているから、必然的にクリエイターたちもワールドワイドになっていくという構図な気がするけど。

Sota 結果論ではあると思うんですけど、シッキンもGANMIも「ダンスで売れたかったら海外でなんかしたらいい」という答えを示してしまったんですよね。逆に言うと日本国内でどれだけがんばっても限界があるとも言える。海外のコンテストで優勝したことがそのダンサーやグループの価値ではないけれど、日本の人たちからするとやっぱりそれだけで格が違うと思ってしまうというか。

shoji よくも悪くもJ-POPは地産地消なんですよね。それを日本の音楽業界がどう捉えるかだと思うんですけど、韓国がこれだけ国際志向になったのは、国内のマーケットだけでは雇用をまかないきれず、事業の拡大も望めないからですよね。だからこそ隣国の日本で成熟したプラットフォームやマーケットを手に入れて、アメリカやヨーロッパなどにも進出していくようになった。日本の場合は国内で完結できるマーケットがあるので、韓国に比べたらまずは自国民に刺さるものを目指すほうが結果を出しやすいのかも。そんな中でも、J-POPの海外輸出の話で言うと、宇多田ヒカルさんはすごいですよね。この前こんな動画を観たんですけど、任天堂の「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」に「キングダム ハーツ」のキャラクターが追加されたときに、宇多田さんが歌うテーマ曲が流れてきたのを聴いた海外のゲーマーたちが「Hikaru Utada……」って言って泣き崩れたんです。彼女は自分がやりたい音楽を突き詰めて、それが世界中の人の心に届いている人なんだなと思いました。デビュー曲は洋楽っぽかったけど、そうじゃない楽曲も世界で評価されている。J-POPなりの海外での戦い方もあるんだなと思いましたね。

──海外で活躍する日本のダンスボーカルグループと言えば、Perfumeがすぐに思い浮かんだんですが、彼女たちについてはどうでしょうか?

shoji Perfumeのぴあアリーナでやったライブを観に行ったんですけど(「Perfume LIVE 2022[polygon wave]」)、とにかく素晴らしかったんです。PerfumeはMIKIKOさん独特のユニークな世界観のダンスももちろん面白いんですけど、このライブは特に映像や照明の演出も込みで1つのエンタテインメントになっていて素晴らしかったです。あのエンタテインメントの総称としてPerfumeという感じがして。ああいうグループは世界中を探してもPerfumeくらいしかいないんじゃないかと思います。

──ジャニーズも海外に向けて積極的に発信しているメージがあります。SixTONESは海外志向なグループとしてデビューしましたし、今年に入ってからですがTravis Japanはアメリカに留学することも発表しました。

shoji ジャニーズさんは昔から海外ツアーもしてますしね。国内でももちろん人気がありますけど、しっかりそういうマインドを持ち続けている数少ない事務所だと思います。それこそSotaはSixTONESやTravis Japanの振り付けもしているよね。

Sota ジャニーズの人たちはすげえなって思いますね。

shoji どんなところが?

Sota 単純にパフォーマンス能力が高い。ジャニーズJr.の子のレッスンもさせてもらうとわかるんですけど、しっかり基礎ができているんですよね。特にジャズに強いと思います。関わるようになって、俺らの彼らへの印象はまったく変わりました! 本当に彼ら、ダンスがうまいんですよ。

──それは小さい頃からジャニーズJr.として練習を積んできたからなんでしょうか?

Sota それもありますけど、やっぱり場数が違うんですよね。小さい頃からステージに立ってたくさん踊ってきたからこそ、しっかり基礎が身に付いているんだと思います。ジャニーズさんとのお仕事は、彼らが持っているものをどうやって洗練していくかの作業なので、一緒にやっていてすごく楽しいです。

■ BE:FIRSTの登場で変わり始める日本の音楽シーン
shoji あと去年活躍した人と言えば、やっぱり日高(光啓 / SKY-HI)でしょ。日本の音楽シーンが地産地消で閉塞感がある中で、本当にやってくれたと思います。同じ世代の人間が会社を立ち上げて、若いクリエイターたちを使って、若いアーティストを売っていく……これに希望を感じないわけがない。日高はすごく頭がいいし音楽にかける情熱が半端ないので、ああいう人が1人いるだけで日本の音楽業界は変わっていくと思います。日高みたいな人がたくさん現れて会社を立ち上げて活躍していったら、日本の音楽業界も新陳代謝して、面白くなっていくのにと思いますね。

──ちなみに今回お二人から特に挙がりませんでしたが、BE:FIRSTのパフォーマンスについてはどうでしたか?

shoji 入れようか迷ったんですけど、身内が振り付けをしてたので(笑)。もちろん素晴らしいグループだと思いますよ。デビュータイミングからあれだけダンスのクオリティを担保できるグループが出てきたのは本当に価値があること。ちゃんとファンがクオリティを期待して待っているんですよね。日本のアイドルって昔から成長型と言われていて、未完成の状態で世に出てきてその成長を楽しむというスタイルが多いんです。それこそさっき挙げたIVEやaespaもそうですけど、韓国では新人でもあれだけのクオリティでデビューするんですよ。だから成長型は言い訳だと思っています。BE:FIRSTはちゃんとデビューのタイミングで完成していたし、ここからさらに垢抜けて洗練されていく姿を見届けられるグループだと思います。

──SotaさんはBE:FIRSTについてどのような印象ですか?

Sota 俺らは歌わないですけど、同世代のダンスボーカルグループはライバルだと思っています。もちろん振り付けを頼まれたら全力でいいものを作りますけど、頼んでくれないグループのことはシンプルにライバル視してますね(笑)。BE:FIRSTのクオリティはすごいなと思いますが、やっぱりあれだけ売れているのを観ると悔しい気持ちが勝っちゃうんですよね。メンバーに知っている子もいるし。

shoji 同世代だもんね。

Sota すぐ「これは俺が振り付けやったほうが絶対いい振り付けだったな」とか思っちゃうんですよ(笑)。いち振付師であり、ダンサーでもあるので、もっとズカズカと同じ土俵に入っていきたい気持ちがあります。

shoji  Sotaのそういうところがいいなと俺は思うよ。今日は本当に楽しかった! また来年もやりたいね。

Sota ぜひぜひ。

shoji あと言いそびれたことがあるんだけど、TOMORROW X TOGETHERの「No Rules」の振り付けはGANMIが考えたものが98%だったって話をさっきしていたでしょ。残りの2%は俺らの振り付けだったんだよね。

Sota えっ!

■ shojiの2021年ベストコレオグラフィ
■ SOTAの2021年ベストコレオグラフィ
■ s**t kingz
shoji、kazuki、NOPPO、Oguriの4⼈で構成されるダンスパーフォーマンスグループ。2010、2011年にアメリカ最⼤のダンスコンテスト「BODY ROCK」で優勝し、世界中から注目されるグループとなる。これまでに20カ国以上でパフォーマンスを披露し、日本国内ではオリジナルの舞台公演も実施。またAAA、BLACK PINK、BoA、EXO、E-girls、Hey!Say!JUMP、King&Prince、Kis-My-Ft2、NCT U、Sexy Zone、SHINee、SUPER JUNIOR、関ジャニ∞、木村拓哉、ジャニーズWEST、東⽅神起、三浦⼤知など、さまざまなアーティストの振り付けを担当。2022年9月から11月にかけて新作舞台「HELLO ROOMIES!!!」を東京、大阪、愛知で開催する。

s**t kingz

■ GANMI
2015年に結成された11人組のダンスアーティスト。2016年にアメリカ・ロサンゼルスで開催されたダンスの世界大会「VIBE DANCE COMPETITION XXI」での日本チーム初の優勝を皮切りに、ライブ活動をスタートさせる。2019年より「CHOREO MUSIC」と呼ばれる、ダンサーが主体となって、アーティストとコラボレーションして楽曲を作り上げていく新たなスタイルを確立させ、楽曲を発表。またBTS「Butter」の振り付けをはじめ、TOMORROW X TOGETHER、NCT U、SixTONES、Da-iCE、eillなど国内外のアーティストのコレオグラフや演出も手がけている。2022年秋冬にはGANMI 結成7周年記念「G PARTY GANMI 7th Anniversary Live Tour」を開催。仙台、福岡、広島、札幌、名古屋、大阪、東京の7カ所を回る。

GANMI OFFICIAL WEB SITE

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