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【まとめ】ウクライナ影響 世界で値上げが止まらない | NHK | ビジネス特集

【まとめ】ウクライナ影響 世界で値上げが止まらない



緊迫の状態が続くロシアによるウクライナ侵攻。
小麦粉や原油などの価格が一段と跳ね上がり、世界各国で身近なモノの価格に大きな影響を及ぼしています。
フランスでは主食の「バゲット」、インドネシアでは屋台料理の「揚げ春巻き」、そして日本では、食卓に欠かせない家計の味方「もやし」まで…。
世界各地で起きている値上がりの最新状況をまとめました。


値上げの4月 コーヒーやティッシュも

まずは日本国内の状況です。

4月から暮らしに身近なさまざまな商品が値上げされます。

《ケチャップ》
カゴメはトマトの輸入価格の上昇で、1日の納品分からケチャップを含む125品目の出荷価格を約3%から9%引き上げ。

《チーズ》
乳業大手3社が家庭用チーズの希望小売価格を約4%から10%引き上げ。

《食用油》
日清オイリオグループとJ‐オイルミルズは、原料の大豆・菜種の価格上昇で、家庭用・業務用の食用油を1キロあたり40円以上値上げ。

《コーヒー》
コーヒーチェーン大手のスターバックスが、4月13日から主力商品を、約10円から55円値上げ。

《ティッシュペーパー》
日本製紙クレシアが、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどを10%以上値上げ。

花王は、乳幼児向け紙おむつの主力製品の一部を約10%値上げ。

《飲料水・レトルトカレー》
大塚食品は、1日の納品分から飲料水とレトルトカレーの商品の一部値上げ。

《菓子》
「うまい棒」の名称で40年以上にわたり販売価格が据え置かれてきたスナック菓子も、1日の出荷分以降、これまでの10円から2円値上げ。

《タイヤ》
ブリヂストンは、1日から乗用車用や二輪車用の販売店などへの出荷価格を7%引き上げ。

横浜ゴムは4月以降、最大で9%値上げ。

去年から続く原材料価格や物流費の高騰が主が要因ですが、ロシアによるウクライナ侵攻が、小麦粉や原油などの価格を一段と押し上げていて、引き続き、値上げの動きが広がりそうです。

1袋30円 ついに「もやし」も!?

さらに、日々の食卓に欠かせない家計の味方の代表格「もやし」にも、今、値上げの動きが出ています。

もやしの小売り価格は、1袋(200グラム)30円程度。

この価格は、ここ10年、ほとんど変わらず、特売の目玉となれば1袋10円台で販売されることもあります。

スーパーやドラッグストアのしれつな価格競争で、安売りに拍車がかかり「デフレの象徴のような商品だ」とぼやく関係者もいたほどです。

もやしの種「緑豆」が高騰

値上げの最大の要因は、もやしの種=「緑豆(りょくとう)」の価格高騰です。

「緑豆」の栽培には、豆を乾燥させるため、収穫期の秋に雨が少ないなど、一定の気候条件が必要となり、現在は大半を中国などからの輸入に頼っています。

しかし、その「緑豆」の争奪戦が激化しているのです。

緑豆を扱う専門商社に話を聞くと、中国国内では需要が高まる一方で「とうもろこし」など、ほかの作物への転作に手厚い補助金をかけられています。

このため「緑豆」の栽培をやめる農民が増加し、作付面積が減少傾向にあるというのです。

また、ほかの輸入品と同様に「円安」や「コンテナ船のコスト上昇」が輸入価格に跳ね返ってきています。

ウクライナ侵攻で原油高騰 値上げを決断

茨城県小美玉市にある、もやしの生産工場も、「緑豆」の値上がりに頭を悩ませています。

首都圏のスーパー向けに1日およそ20万袋を出荷するこの工場では、専門商社からの「緑豆」の仕入れ価格が、去年に比べて2割あまり上昇し、過去最高の水準だといいます。

さらに追い打ちをかけているのが、ウクライナ情勢で加速する原油価格の高騰です。

この会社では、温度管理のための燃料の重油価格が1年前と比べて4割あまり上昇。

この冬の燃料費の負担は、毎月150万以上増えたといいます。

さらに、運送代や包装代も上がっています。

会社は、「1銭」単位でギリギリのコスト削減を続けてきましたが、「さすがに限界」と感じ、取引先のスーパーに4月からの納入価格の改定を申し入れました。

価格改定は実に5年ぶり。

すでに一部の取引先には10%程度の値上げを受け入れてもらったといいます。

生産会社「旭物産」林社長
「安い食材の代表格だった『もやし』も値上げになると消費者の方はつらいかもしれません。
ただ、これまでギリギリのところで消費者にお渡ししていたのが現実で、ご理解いただきたいです。
取引先のスーパーの中には、販売価格の値上げはなかなか厳しいと思っているところもありますが、あきらめずに交渉を続けていきます」

「もやし」のジレンマも…

ただ、家計の味方として定着している「もやし」の値上げに、生産者は複雑な思いを抱えています。

特に規模の小さい生産者からは「実際に値上げを言いだすのは難しい」という声も聞かれました。

中堅の生産者
「スーパーなどの小売り現場には食品の値上げへの強い抵抗感があると感じています。スーパーに納入価格の値上げをお願いしても、店頭の販売価格を上げるのが難しいと判断されてしまえば、スーパーの利益を損なうことになり、もっと安いほかの生産者に切り替えられてしまうおそれもあります。
値上げの交渉をするかどうかは、しばらく様子を見ようと思います」

大分県にある大手生産会社は、今回、なみなみならぬ決意で値上げに踏み切ったと言います。

大手生産会社「名水美人ファクトリー」奈良社長
「本来、値上げは最後の手段ですが、今回は値上げ以外に選択肢がありませんでした。ここで値上げしなければ、いつ上げるのかという覚悟でスーパーと交渉しました」

“値上げの波”は世界各国で

ロシアによるウクライナ侵攻が始まって1か月あまり。

身近な食品の値上がりは世界各国でも広がっています。

屋台から悲鳴 ~インドネシア~

インドネシアではナシゴレンなどの炒め物、揚げ物など油を使った料理が好まれますが、首都ジャカルタの屋台では、バナナの「揚げ春巻き」の価格を、これまでの「10個」=1万ルピア(約85円)から「8個」=1万ルピアに変更しました。

いわゆる「実質値上げ」です。

理由は、調理に欠かせない「パーム油」の価格高騰です。

政府の統計では、パーム油など食用油の小売り価格が3月30日の時点で前年の同じ時期と比べて45%から70%値上がりしています。

ウクライナとロシアが世界1位、2位の生産国になっている「ひまわり油」の供給が滞るという懸念から、代替品としてアジアで生産されるパーム油の需要が拡大したのです。

ジャカルタの屋台の店主
「これまでこんな高い食用油を買ったことがありません。
屋台の食べ物を買う人がいなくなるのではないかと心配です」

定番料理にも影響 ~タイ~

タイの屋台の定番、ガパオライスに欠かせない目玉焼き。

その卵も値上がりしています。

タイでは、家畜の飼料用として輸入する小麦の価格がこれまでの1.5倍に上昇。

世界全体の小麦の輸出量のおよそ3割を占めるロシアとウクライナから輸出が滞るとの見通しが価格上昇を引き起こしています。

タイの生産者団体は生産コストの上昇を理由に、3月24日から卵の希望小売り価格をおよそ3%値上げしました。

卵は幅広い料理に使われるだけに、暮らしへの影響が拡大することが懸念されています。

食卓に欠かせないパンも ~フランス~

細長いバゲットを抱えて歩く人が街の風景になっているフランス。

その値上がりはフランスの人たちの大きな心配事になっています。

平均で90セント(約120円)と安価に抑えられてきましたが、小麦価格の上昇で、業界団体はこれから本格的な値上がりが広がるとみているのです。

パン屋はすでに去年からのエネルギー価格高騰で、コスト増に苦しめられてきました。

パリでパン屋を営むマキシム・アンラクトさんは、電気料金が値上がりする中、オーブンの電源をこまめに落とすなどして、なんとかパンの価格を維持してきました。

しかし、小麦粉の価格が今後、2倍程度になる可能性も考えていて、販売価格を引き上げなければ赤字になってしまうと頭を悩ませています。

パリでパン屋を営むアンラクトさん
「コロナ禍でも値上げをしなかったのに、ついに値上げに踏み切らなければならないのは、店にとってもお客さんにとってもつらいことです」

飢餓の危険増す国も ~イエメン~

より深刻な影響が懸念される国もあります。

中東のイエメンは、小麦の輸入の4割をロシアとウクライナに頼っています。

7年以上にわたって内戦が続くこの国では、輸入が減っても国内でその代わりとなる農産物を十分に生産できず、主食のパンの値段は2倍に高騰しました。

これまで1日に1度の食事としてパンを家族で分け合ってきたというダルウィーシャ・バヒースさんは、通りに立って人々に施しを求めざるを得なくなったことを明かしました。

ダルウィーシャさん
「物価がさらに上がれば私たち家族だけでなくたくさんの人たちが餓死してしまいます」

国連は飢餓状態とされる人がことし中に現在のおよそ5倍の16万人余りにまで増えると予測していて、パンの値上がりが人々の命を脅かす事態を引き起こしています。

さまざまな資源や食料を世界中に供給してきたロシアとウクライナ。

軍事侵攻によってインフレは一段と加速し、各地で人々の暮らしに影響が広がっています。

ウクライナ情勢の事態打開の道筋は見えていないだけに、値上げが今後さらに進むことも考えざるをえない状況になっています。

経済部 記者
大江 麻衣子
2009年入局
福岡局などを経て現所属

ジャカルタ支局 支局長
伊藤 麗
2015年入局
国際部などを経て去年から現所属

アジア総局 記者
影 圭太
2005年入局
経済部などを経ておととしから現所属

ヨーロッパ総局 記者
古山 彰子
2011年入局
国際部などを経て2018年から現所属

ドバイ支局 支局長
山尾 和宏
2011年入局
社会部などを経ておととしから現所属

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