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今やVTuberも「世界創造」の時代! 水瓶ミアに聞く、VRchatのRe:AcT公式ワールドに込めた愛と想い | PANORA


既報の通り、ソーシャルVRプラットフォームの「VRChat」にて1月22日、バーチャルタレント事務所・Re:AcT(リアクト)の公式ワールドRe˸AcT VTuberWorldが公開された。制作を担当したのは、なんと同事務所に所属するVTuber・水瓶ミアさん。外注のクリエイターではなく、タレント自身が「世界創造」をしてしまった点が新しい。

彼女がどのような経緯や想いから、公式ワールド制作という一大アクションを起こしたのか。ぜひ話を聞きたいと思った筆者は水瓶ミアさんにVRChat上でのインタビューを申し込み、実際にワールドを案内してもらいながらお話をうかがった。

ワールドの細やかな配慮に「本物」を実感

メタバースといえば、2021年10月のMeta社(旧Facebook社)の発表以来、一大ムーブメントを迎えているジャンルだ。

中でもVRChat は、VRヘッドセットによって得られる没入感や、様々なクリエイターが手がけた数々の凝ったワールド(編集註:VRChat上にいくつも存在するバーチャル空間)、なにより世界中の人とリアルタイムで言葉に加えて体も使ってコミュニケーションできるという点などが評価されて、VRメタバースの筆頭として注目を集めている。2021年末のアスセス数が8万8000人以上にも上ったという話からも、その人気ぶりがうかがえるだろう。

そんな加熱するブームの中でオープンしたのが、先の「Re˸AcT VTuberWorld」 だった。ワールドでは、所属メンバーの紹介や歌ってみた動画を鑑賞できるほか、グッズやオリジナル楽曲の購入リンクも設けており、まさに公式の名にふさわしい密度に仕上がっている。「Re:AcTとはなにか?」を説明するなら、この空間に連れていくのが早いと思わされるほどだ。

さらに驚いたのは、ワールドの制作・運営を一手に引き受けているのが、同事務所の2期生として2018年にデビューし、現在も活動中の水瓶ミアさんということ。

VTuberの中には、クリエイターとしての才覚も発揮し、イラスト、作曲、動画や音声作品の制作などで活動している人もいるものの、メタバース上のコンテンツを制作したという事例は少ない。そしてワールド作りは、数々のCGを用意した上で配置や動きで空間をデザインし、それが気持ちよく体験できるように調整を繰り返すという非常に手間がかかる作業だ。それを同様に時間を取られるVTuber活動と並行して、完成させたという点でまず白眉といえる。

ワールド自体の出来も素晴らしい。実際に訪れてみるとわかるが、VRChatをしっかり遊んでいる人ならではの配慮が随所に見られた上、公式ならではの魅力もきちんとアピールできている。なにより「Re:AcTという事務所が好き」という熱意が伝わってくるのがとてもいい(この辺の詳細は後半のインタビューを参照)。筆者も過去に様々なワールドを訪れてきたが、それらとまったく遜色ないクオリティーのものを、一人のVTuberが作り上げたという事実に気持ちを大きく動かされた。

ちなみに彼女の場合、ワールドのみならず、アバターでも才能を発揮している。VRchatで使えるアバターは3Dモデルだが、彼女のVTuberの身体は2D(Live2D)なので、わざわざ市販の3Dアバターを自前で用意し、見た目をカスタマイズ(業界用語で「改変」という)した上でVRChat内から配信している。技術スタッフに頼らず、自分ですべてやってしまうというのが、VTuber業界全体で見ても非常にレアな動きだ。

そんな事実に惹かれて今回インタビューを申し込んだのだが、実際に取材を進めると、彼女の口からRe:AcTというグループやファンへの愛や想いを感じられるエピソードが聞かれた。

私の見た楽しい世界を伝えたくて、アバター改変を覚えて配信

Re:AcT所属・水瓶ミアさん。

──「Re˸AcT VTuberWorld」はどのような経緯で生まれたのですか?

水瓶ミア Re:AcT所属のVTuberとして3年活動してきて、人気があるメンバーはたくさん出てきたものの、事務所の名前はなかなか浸透していないように感じました。VTuberを知っている方も、知らない方も「Re:AcTという事務所があって、こんなに魅力的なメンバーがいる」ことを知ってもらえる機会を作れたらいいなと、以前から考えていました。そこで、流行りのメタバースというものにも乗っかってみたいなと思い、Re:AcTの社長に相談したところ「楽しそうだね!」と許可を頂けたので、このワールドを作成するに至りました。

──社長に直談判したということですか!?

水瓶ミア そうですね! たまたま社長もVRChatを始めていて、こうしたVRの世界にはすごく興味があったみたいです。

──ミアさんご自身がVRChatを始めたきっかけは?

水瓶ミア 最初は個人的な趣味として、去年の4月頃に一人で始めました。そうして遊んでいく中で「こんな身近にリアルな世界があるんだ!」って知ったんですよ。いろんな国の方とのコミュニケーションして親交も深められるし、バーチャルの世界にも触れられて、髪の毛は動くと揺れて……。初めてのことが多すぎて衝撃を受けました。なにより楽しいし、私の見たこの楽しい世界をいろんな方にも伝えたいなと思い、VRChatでの配信することを決めました。

2021年10月22日より始まった水瓶ミアさんのVRChat配信。改変アバターを用いて配信を行っている。

──VRChatからの初配信は昨年の10月頃でした。その時点で、すでにアバター改変もマスターされていたみたいですが、もともと改変に必要なUnityなどを使っていたのでしょうか?

水瓶ミア まったくなかったです。もともと、気になる事に没頭してしまうタイプなので、いろいろ調べているうちに、ワールドの制作アバターの改変などにUnityを使う必要があることを知って、去年の4月頃からVTuberとして活動する傍らで、Unityをいちから勉強していました。

──VRChatユーザーが最初に挫折しがちなUnityというハードルを乗り越えたのは、素直にすごいと思います……!

水瓶ミア 気になったことの吸収は早いと自負しています!

メンバー紹介文を自分で書くほどのRe:AcT愛

ここから「Re˸AcT VTuberWorld」を一緒にめぐりながら、制作の裏側やこだわりを尋ねていった。ワールド自体はちょうど先日アップデートが入り、バレンタインデー仕様に衣替えしたばかりだった。まずは1階のこだわりについて。

1階フロア。2月20日までバレンタインデー仕様となっている。
ワールド入口。アップデートによって最初にこの文章が目に入るようにリスポーン方向(初期配置の向き)を調整した。

──最初にRe:AcTについての解説が大きく見えます。こちらには英訳も添えていますが、これはVRChatの英語圏ユーザーに配慮してのものでしょうか?

水瓶ミア 実はここ、英語だけでなく多言語対応したかったのです。同じRe:AcTの久檻夜くぅちゃんが英語とタイ語を話せる子なので、タイ語を入れたかったんですけど、そうするとキリがなくなっちゃうな……と思い、泣く泣く英語にしぼりました。

Re:AcT所属メンバーを紹介するパネル。メンバーのデビュー時期の順に並んでいる。

──入口を過ぎると、目にとまず目にとまるのはRe:AcTメンバーの紹介パネルですね。ひとりひとりの紹介文は、ミアさんが考えたものですか?

水瓶ミア そうです! みんなの配信や活動を全部見返してみて、なにが彼女たちの魅力なのかをまとめました。本人たちから直接聞き出すと、リスナーさんが気になったところなどが出てきにくいと思ったので、「第三者から見た魅力」として私のほうで書かせていただきました。

九楽ライ、皇ロゼの紹介パネル。2人とも2021年11月3日にデビューしたばかりの新人だ。

水瓶ミア  一番最近デビューした二人(九楽ライさん、皇ロゼさん)は、まだ活動内容も固まりきっていない段階なので、本人たちの強みをピックアップして紹介しています。九楽ライちゃんならクリエイティブなところ、皇ロゼちゃんなら「親フラが激しい」ところとか(笑)

グッズ紹介パネルコーナー。配置レイアウトもふくめて細かなアップデートが入っている。

──グッズ紹介コーナーですが、各グッズの画像は、外部販売サイトへのリンクも兼ねています。こうした仕掛けは、「バーチャルマーケット」などのイベントでは見かけますが、常設のワールドではなかなかめずらしいと思います。

水瓶ミア イベント系はだいたい回るようにしていて、バーチャルマーケットにもお邪魔させていただきました。ほかにも「アバターミュージアム」にもおうかがいして、このリンクの仕組みもふくめてワールド制作の参考にさせていただきました。

2021年12月12日実施の「バーチャルマーケット」配信。
ワールド内に置かれたチョコは、実際に手に取ることもできる。

──そして今はバレンタイン仕様ということで、チョコを置いているんですね。

水瓶ミア やっぱり「推しからもらうチョコレート」って特別感あるかなって。「私たちからのプレゼント」みたいな感じで、ここにチョコを置いています。

オリジナル楽曲コーナー。各カバー画像の前にはメンバーごとの缶バッジが置かれている。

──オリジナル楽曲のカバーイラストが並ぶコーナーも、同様に購入サイト(BOOTH)へのリンクを兼ねています。

水瓶ミア リンクと同時に、それぞれの楽曲の前にメンバーごとの缶バッジを作って置かせていただきました。実際には存在しないグッズなんですけど、あったらいいなって……!

ワールド内には「定位置リセット」ボタンが各所に設置されている。

水瓶ミア ただ、いろいろアイテムを配置したことで、「(誰かが動かしたので)どこにいったかわからなくなる」という声もいただいたので、ほとんどのアイテムはもとの位置に戻るように定位置リセットボタンもアップデートで実装しました。「推しの缶バッジがない……」ってなると悲しくなっちゃうと思うので!

まだ見ぬRe:AcT新人タレントの枠。オーディションは、本記事執筆時点で予選配信の真っ只中だ。

──順路の最後には、これからデビューする方のコーナーもありますね!

水瓶ミア そうなんです! デビューが決まってからここにもアップデート入れようかなって思ってます。ただ、あまり頻繁に更新するとバグが生じるリスクもあるので、いまはちょっとセーブしているところです。

──六徹されたという噂も耳にしているので、あまりご無理のないよう……(笑)

水瓶ミア  そうですね(笑)。しばらくは眠れない日も続きましたけど、楽しかったのでOKです!

ファンが集まって一緒に動画や生放送を見られる場も

階段を上がっての2階フロア。こちらもバレンタインデー仕様に染まっている。

──2階はみんなで遊べるフロアだな、という印象を受けました。

水瓶ミア 基本的には、2階はリスナーさん同士がコミュニケーションできるような場所を意図して作りました。やっぱり今、コロナ禍でなかなか外に出られないですが、そうした状況下でもリスナーさん同士で交流を深めてもらえれば、もっとRe:AcTを広めるきっかけになるかもしれない。リスナーさん込みで「ハコ」感を高められると思いました。

──そしてRe:AcTならではともいうべき、コンセプトごとにメンバーを分けたグループ内レーベルの紹介もあります。

水瓶ミア やっぱりはじめての方って「レーベルってなんやねん」と思ってしまう気がするので、誰が所属しているのか、どんなテイストなのか、という説明を入れました。それで「自分の好みのチームはこれだな」と気づいてもらえたらいいなって。

フォトフレームを持つマネージャーさん。ワールド内には2種類のサイズのフォトフレームが用意されている。

水瓶ミア さらにみんなで写真を撮るタイミングを作りたくて、フォトフレームパネルをあわせて設置しました。大きめのアバターでも入れるように、2種類のサイズを用意しています。

ドリンクが出てくる自動販売機。

──自動販売機も大きいものと小さいものがありますね。

水瓶ミア どんな人でも楽しんでいただけるように、大きいサイズと小さいサイズをなるべく用意しました。なるべく快適に遊んでもらって、多く人に来てもらえるようにしたいです。

Re:AcTメンバーの歌ってみた・オリジナル曲MVを再生できるプレイヤー。実はURL入力で任意の動画・配信を見ることも可能だ。

──2階で最大の見どころというと、動画プレイヤーですよね。

水瓶ミア  メインといっても過言ではないですね! 実際、ここで自動再生していると「なんだ?」と思って見に来てくれる方もいるかなって。

──ファンの方がここで配信やプレミア公開を見ている、というツイートも見かけました。早速ファンの集まる場所として機能していますね!

水瓶ミア  そうなんですよ! 自分のやりたかったことだけでなく、来てもらった人にやってもらいたかったことまで実現しているので、このワールドを作ったかいがありました……!

「Re:AcTのみんな」と叶えていきたい夢

──ワールド公開後の反響はいかがでしょうか?

水瓶ミア ありがたいことに、多数のメディアさんで記事にしていただいたあと、いろんな人に興味を持っていただいて、ワールドのアクセス数も2000を超えました。私もこっそり、デバッグがてらPublicインスタンスに入るんですけど、海外の方も含めてRe:AcTを知らない方がたくさんいらっしゃって、そしてみなさんRe:AcTに興味を持ってくれています。

メンバーも運営さんもすごく興味を持ってくれて、実際に遊んでくれてるメンバーもいました。その様子を見ていると、メンバー自身のモチベーションにもつながっているような気がしていて、多方面にいい影響を与えられたのかなと感じます。

メンバーのサインが書かれた色紙。

──メンバーといえば、みなさんのサイン色紙がこちらに置かれています。

水瓶ミア この色紙は、今回のためだけにみんなが書いてくれました。空いた時間にお願いしているんですけど、みんなが自分で考えてコメントも寄せてくれていて、ここだけでしか見れないサインになっています! このサインを目的にワールドに来てくれる人もいらっしゃるみたいです。

──先ほども少し触れられていましたが、ミアさん以外のメンバーもVRChatに続々と遊びに来ています。

水瓶ミア  私が把握している中だと、このワールドができてから、たしか7人、私も含めて8人がVRChatに来たはずです。

公開直後から、様々なRe:AcTメンバーが「Re˸AcT VTuberWorld」を訪れている。

──半数近くも来ているんですね……! 実際、VTuberさんがこういった形でVRChatに進出するというのは珍しいことことで、その中でもこのワールドは本当にいい前例になったかと思います。

水瓶ミア タイミングもよかったと思います。ちょうど1月下旬にテレビ番組の「マツコ会議」でもVRChatを取り上げてましたし、そこから興味を持った人も増えた中での公開だったので、色々な幸運が重なったのかなと思います。公開からまだ数日ですけど感慨深いです。

──今後のアップデート予定ややってみたいことは?

水瓶ミア 私の思い付きで始めたことに、メンバーも運営さんも一緒に乗っかってくれたことで、「Re˸AcT VTuberWorld」は完成しました。なので、可能であれば私だけでなく、Re:AcTのみんなでなにかできるような場所を作りたい。

なにより、コロナ禍でなかなかイベント開催ができない中なので、このワールドを通じて、ちょっとしたイベントなども行えればいいなと考えています。アップデート方針も自分の一存だけでなく、みんなの意見を聞きながら考えていきたいです。

──最後に、2022年の水瓶ミアさんご自身の目標をお聞かせください。

水瓶ミア 実は、やりたい事はあらかた叶ってしまったというか、ほとんどの夢をみなさんと一緒に実現することが出来たと思います。でもやっぱり、Re:AcTのメンバーみんなでそろって3Dライブやイベントができたら凄く幸せだなと思うので、一番の目標はそこかなと思っています。ちょうど、メンバー全員の3D化も計画が動き始めたので!

──ついに全員3D化ですか……!

水瓶ミア そうです!社長もついに腹をくくりました!

2022年1月5日発表の新プロジェクト「ユメニミタカラ」ティザームービー。全メンバー3D化やオーディション開催が告知された。

水瓶ミア 私自身の話をすると、歌うことも好きです。特に「歌詞の情景をイメージして歌う」ことを一番に意識しています。聴いてくださった方にそうした意図が伝わるように、そっとみんなの日常に寄り添えるように、これからも歌っていけたらいいなと思います!

──ミアさんのフルスクラッチの3Dモデルで、このワールドで歌う機会があったらすばらしいですね!

水瓶ミア 確かに! ここでミニライブとかできたらいいですね!

──その時が来るのを楽しみにしています。本日はありがとうございました!

水瓶ミア  ありがとうございました!

取材後、2月2日のアップデートで追加されたカフェ。

「Re˸AcT VTuberWorld」のアップデートは今も続いている。

取材が終わり、本記事を執筆している間にもアップデートが実施された。早速様子を見に行くと、なんと2階にカフェが建設されていた。料理や無料のカードガチャも置いているほか、雑談ができるスペース、寝ることができるスペースなども設けられており、1人でもみんなでもくつろげる空間だ。このほかにもいくつかアップデートしたとのことだ。

インタビューを通して水瓶ミアさんから感じたのは、VRChatに対する確かな理解と、訪れる人に対する思いやり、そしてなによりRe:AcTという事務所・グループそのものを深く愛しているところだ。すべてが備わっていたからこそ、Re:AcTファンやメンバー・運営はもちろん、Re:AcTそのものを知らない人も訪れ、その魅力をTwitterなどを通して拡散したくなるワールドになったといえるだろう。

VTuberが「VRChat」へ進出する流れは、直近でさらに強まっている。

今後、名だたるVTuberの中から、Unityをマスターし、ワールドを作り上げる人が現れても不思議ではない。そのきっかけとなり得るのがこのワールドであり、そしてこのワールドを生み出したのが、一人のVTuberの熱量であるという事実は、とても大きな意義があると再確認した。大きな一歩を踏み出したRe:AcTとともに、水瓶ミアさんのこれからの活動に大いに期待したい。

Re:AcTメンバー全員のパネルと、水瓶ミアさん。

(TEXT by 浅田カズラ

●関連リンク
・Re˸AcT VTuberWorld(VRChat)
・Re:AcT(公式サイト/YouTube/Twitter
・水瓶ミア(YouTube/Twitter


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