国際ニュース

【更新】国産コロナワクチン、開発状況は? 塩野義にアンジェス…実用化に期待高まる | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS

ワクチン接種が進む中、「国産」にも期待が高まる

 日本の製薬会社による新型コロナウイルスワクチン開発が急ピッチで進んでいる。現在国内で認可されているのは海外メーカーによるものだけ。国内を中心に臨床試験(治験)が進む「国産ワクチン」への関心は高く、早期の実用化を期待する声がある。主な企業の開発状況と見通しをまとめた。
(編集局コンテンツセンター・佐藤琢磨)※アンジェスについて加筆あり(8月26日更新)

国事業に5社採択

 独自のワクチンを開発中で、国のワクチン生産体制等緊急整備事業に採択されているのは塩野義製薬、アンジェス(以上大阪)、第一三共、VLPセラピューティクス・ジャパン(以上東京)、KMバイオロジクス(熊本)の5社(8月18日現在)。
 塩野義製薬が進めているのは、ウイルスの遺伝子情報からワクチンのもととなる物質(抗原タンパク質)を作る組み換えタンパクワクチン。海外ではインフルエンザワクチンなどで既に実用化されている。
 現在は3段階あるうち第1/2相(段階)の治験中。同社広報部は「21年度内の提供を目指し、大規模治験の詳細などを規制当局や関係省庁と調整中」という。予定では年間最大6000万人分の生産が可能になる見込みだ。
 大阪大発の創薬ベンチャー、アンジェスは「DNAワクチン」と呼ばれる新しいタイプを開発中だ。複製したウイルスのDNAの一部を体内に取り込んで免疫を作る仕組み。治験は国内で最も早い昨年6月に始まった。現在は第2/3相の治験中で他社より先行しているが、高用量製剤での第1/2相治験も同時並行で行っている。同社広報は大規模治験の条件によるとした上で、「22年に最終(第3相)治験、同年度内に承認申請、実用化を目指したい」と話した。

国内製薬会社の開発状況一覧(2021年8月26日現在)

従来型の不活化ワクチンも

 第一三共は米ファイザー社、米モデルナ社製と同じm(メッセンジャー)RNAワクチンを東大研究チームと共同開発する。3月から第1/2相の治験が行われており、22年中の供給開始を目指している。生産量について、同社広報グループは「現時点でお答えしていない」とした。
 米バイオ企業の日本子会社、VLPセラピューティクス・ジャパンも独自のmRNAワクチンを北大や大分大、大阪市立大などと共同開発している。治験は10月に始まる予定で、22年中に承認申請、実用化する意向。治験薬の製造は富士フイルムが担う。生産量の体制について同社広報は「現時点で公表できない」と話した。
 明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクスが東大医科研などと取り組んでいるのは、従来型の不活化ワクチン。日本脳炎やインフルエンザなどで普及しており、同社広報は「実績ある手法で安全性が期待できる」という。早ければ22年内に承認申請し、23年の実用化を目指す。22年春までに6カ月間で最大1750万人分の生産体制を整備するとしている。

全ての写真を見る

関連タグ

社会 新型コロナ関連 宮城 Web発

関連リンク

  • 抗体カクテル療法とは? 初の軽症者向け、重症化予防に期待 東北大の加藤教授解説
  • 「ココア」と「ミーカ」、コロナ接触アプリを使ってみた 増える感染者、併用で安心2倍
  • 子どものワクチン接種、メリットとリスクは? 小児科医に聞く
  • 接種後の「ブレークスルー感染」じわり 2回目終えても予防策徹底を
  • モデルナ2回目 副反応、翌日強く出る例も 食事や休日取得、事前に準備を
河北新報のメルマガ登録はこちら


クレジットソースリンク

もっと見せて!

Related Articles

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Back to top button