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巨額の大阪万博関連投資 菅首相の「遺物」を検証してみた:東京新聞 TOKYO Web

 四面楚歌のような状況で退陣表明した菅義偉首相だが、関西からは惜別の声が上がった。2025年大阪・関西万博をにらんだ交通網整備を推進してきたからだ。ただ巨額投資に見合うほど、利用者が増えるかは微妙だ。コロナ禍の影響で移動制限が長引きかねない。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を当て込もうにも先行きは不透明だ。首相交代を機に「遺物」を検証してはどうか。(中沢佳子、中山岳)

◆事業の早期推進に「お墨付き」 維新・松井市長は「満額回答」

 「大阪の経済基盤の強化に向け、万博や都市インフラ整備に大きな協力をいただいた。後世に評価されるのでは」。菅首相が退陣表明した3日、日本維新の会代表で大阪市の松井一郎市長は、そうねぎらった。

 確かに首相は関西の交通網整備に熱心だった。8月27日にあった政府の国際博覧会推進本部の会合ではインフラ整備計画を決定。万博会場予定地の夢洲(大阪市此花区)の周辺だけでなく、関西の鉄道や道路の整備、空港の機能拡充などが並んだ。事業費の大きさも目を引いた。

 まず、会場に向かう大阪メトロ中央線の延伸や新駅の開設に540億円。このうち、330億円を国や大阪市が負担する。市中心部と会場を結ぶシャトルバスが走る高速道路の淀川左岸線2期工事(2013億円)には、市が1918億円をつぎ込む。

日本維新の会代表で大阪市の松井一郎市長

日本維新の会代表で大阪市の松井一郎市長

 大阪市の周辺地域では、北大阪急行電鉄の路線延伸があり、事業費874億円のうち、国や大阪府、箕面市が764億円を担う。1050億円かける大阪モノレール延伸には、国や府などから計740億円の公費が出る。

 全体的な事業費や公費負担が気になるところだが、内閣官房国際博覧会推進本部事務局の担当者は「総事業費はまだ出ていない。補助率もまちまち」と話す。

 計画に並ぶインフラ整備の多くは、既に事業化されているという。それでも計画をまとめた理由を尋ねると「7月に大阪府と大阪市から受けた要望をもとにまとめた。完成時期がはっきりしていない事業があり、『万博までに』と合意形成の意味合いもあった」と答えた。つまり計画の決定を通じ、各事業の早期推進に国がお墨付きを与えた格好になっており、松井市長は「満額回答だ」と喜んだ。

◆「離れ小島」から紀伊半島、四国、北陸の道路整備まで

 この計画が万博後も見据えているとにらむのは、大阪の事情に詳しいジャーナリストの吉富有治氏。「半年間の万博では採算がとれない。会場は離れ小島のような立地。終了後、ほとんどの鉄道や道路が赤字になるだろう。だから跡地にIRの誘致を考えた」と述べ、「『万博のため』の整備はIRのための活用を想定しているはず。万博は露払いだ」と続ける。

 先の計画には首をかしげたくなる点もある。紀伊半島の先端や四国、北陸の道路整備も含まれているのだ。前出の内閣官房の担当者によると、7月の要望に関西広域連合の構成自治体の意見が反映されていたためで「広く関西で催す万博という意識がある」という。

 ただ吉富氏は「万博特需を恒常的にするため、IRで訪日外国人客を呼び込み、関西一帯でお金を落とすようもくろんだ。『この際だからやっちまえ』と計画に入れたのでは」と指摘。計画がまとまったのも首相と維新の良好な関係が根底にあるとみる。「万博もIRも大阪府市、ひいては維新がやりたがった。地元経済が成長し、四国や北陸のインフラ整備にもつながれば、党の実績になる。それを首相が後押しした形だ」

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