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【重要ニュースまとめ(9/24~9/30)】暗号資産ETFがついに実現。欧米では規制当局によるステーブルコインへの介入が加速 | 仮想通貨コラム | 仮想通貨の比較・ランキングならHEDGE GUIDE

今回は、9月24日〜9月30日)の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについて、田上智裕氏(@tomohiro_tagami)から寄稿していただいたコラムをご紹介します。

目次

  1. 念願の暗号資産ETFが上場へ
  2. 欧州連合(EU)によるステーブルコインの規制
  3. 米国の銀行がステーブルコインを管理
  4. まとめ、著者の考察

今週(9月24日〜9月30日)の暗号資産・ブロックチェーン業界は、世界初の暗号資産ETFや欧米の規制当局によるステーブルコインへの取り組みが話題となりました。本記事では、1週間の重要ニュースを解説と共におさらいしていきます。

念願の暗号資産ETFが上場へ

バミューダ証券取引所が、暗号資産ETF(上場投資信託)を上場させる方針であることが明らかになりました。予定通り承認された場合、世界初の暗号資産ETFが誕生することになります。

世界初の暗号資産ETFとなるのは、ブラジルのファンドHashdexと米国ナスダックによって発行される「Hashdex Nasdaq Crypto Index」です。クラスEとなる300万株が発行される予定だといい、2020年内の取引開始を目指すとしています。

暗号資産ETFは、これまでに多くの企業が申請を出し続けてきましたが、その全てが米国証券取引委員会(SEC)によって棄却されてきました。特定の大口ホルダーや透明性の観点から、市場へのマイナス影響の可能性を危惧してのことです。

しかしながら、各国の交換業者による本人確認(KYC)やマネーロンダリング対策などの整備が進んだことで、近年この状況は改善されつつありました。ここにきて、業界全体としての長年の悲願が達成されることになりそうです。

Hashdexは、暗号資産を含む複数のファンド構成で約4,700万ドルの資産を運用しています。今回、バミューダにおける暗号資産の規制環境が他国と比べて緩やかであることを活用し、バミューダ証券取引所を選択したと発表しています。

Hashdexは、主要取引先金融機関にはシルバーゲート銀行を、監査法人にはKPMGを、暗号資産カストディにはXapoやKingdom Trustなどを採用しており、大手サービスを享受できている安定したファンドであるといえるでしょう。

念願の暗号資産ETFが誕生することで、更なる機関投資家の参入が期待できそうです。

【参照記事】Admission to Listing Announcement: Hashdex Nasdaq Crypto Index ETF Class E Shares
【参照記事】世界初の仮想通貨ETF実現、ナスダックとブラジルファンドが提携

欧州連合(EU)によるステーブルコインの規制

今週はステーブルコインに関して、各国の規制当局による動きが目立った1週間でした。まずは、ヨーロッパの動きから紹介していきます。

欧州連合(EU)が、暗号資産・ブロックチェーンとりわけステーブルコインに関する規制を、2024年までに整備する方針であることを明らかにしました。

周知の通り、EUにはユーロという共通通貨が存在します。そのため、ステーブルコインのような世界統一通貨が拡大することは、EUにおける金融の安定性を脅かす可能性があるのです。これは、EUに限らず世界各国の規制当局が危惧しています。

日本でも、安倍政権時代に国会で麻生財務大臣が言及するなど、「ステーブルコイン」はもはや専門用語ではなくなってきているとさえ言えるのではないでしょうか。

今回、EUが規制に向けて動き始めるに至った背景には、Facebook主導のLibraプロジェクトの存在があるとしています。Libra登場以前よりステーブルコインはいくつか存在していたものの、Libraのインパクトが大きく一気に拡大するきっかけとなりました。

そのため、Libraは数あるステーブルコインの中でもベンチマークとしての存在になってしまい、今回のEUのように名指しでの規制対象になってしまったのです。EUは、Libraが世界共通の通貨として成立する可能性を秘めていると感じたのでしょう。

なお、2024年の整備を目指す方針として、ステーブルコインに限らずEU圏内で暗号資産関連のサービスを運営する場合には、物理的な拠点を設ける必要性があることを示唆しました。その上で、影響力の大きいステーブルコインについては、欧州銀行監督機構(EBA)の監視下に置く方針も示しています。

また今回の規制整備に際しては、サンドボックス制度を導入する方針であることも明らかにしました。金融の安定性を保護しつつも、しっかりとイノベーションを支持していく姿勢を見せています。

【参照記事】REGULATION OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL on Markets in Crypto-assets, and amending Directive (EU) 2019/1937
【参照記事】EU、仮想通貨の規制を計画-2024年までの枠組み導入目指す

米国の銀行がステーブルコインを管理

続いて、米国通貨監督庁(OCC)によるステーブルコインへの取り組みを紹介します。

こちらの記事で紹介しましたが、OCCは国立銀行と貯蓄貸付組合に対して、暗号資産の取り扱いを許可する方針を公表しています。つまり、米国の銀行に対して、暗号資産市場への積極的な介入を促しているのです。

そしてOCCは今回、国立銀行(National Banks)と連邦貯蓄協会(Federal Saving Association)に対して、ステーブルコインの準備資産を管理するための許可を出しました。

ステーブルコインは、暗号資産の価格変動(ボラティリティ)が大きい問題を解消するために誕生した、比較的新しい暗号資産です。基本的には、価格の安定した他の資産(法定通貨や暗号資産など)を担保にして発行され、その担保資産にステーブルコインの価格を連動させる仕組みになっています。

そのためステーブルコインの発行体は、発行するステーブルコインの総額を上回る(最低でも同額)担保資産を保有しなければなりません。そうでなければ、ステーブルコインの価格が正しいといえる根拠が存在しないからです。(ステーブルコインに関するより詳細な解説は、こちらの記事をご覧ください)

今回のOCCによる発表は、ステーブルコインの発行体における需要に対応したものです。銀行に対しての認可ではあるものの、銀行自体がステーブルコインを発行するわけではありません。民間におけるステーブルコインの発行体が、価格の裏付けとなる大量の担保資産を安全に保管しなければならないため、これを銀行に預けられるようにしたのです。

なお、担保資産を管理する銀行側は、日次の頻度で発行されたステーブルコインの総額と預けられている担保資産の総額を確認するオペレーションを組むことになるといいます。つまり、ステーブルコインの発行額が担保資産を上回っていないか「毎日」確認しなければならないのです。これは相当なコストが発生することが予想できるでしょう。

それでも、これまで限られた範囲で完結していた暗号資産市場が徐々に広がりつつあることの表れであるとも考えられます。ステーブルコインをハブにすることで、既存金融機関と暗号資産関連企業がより一層交わっていくことが期待できそうです。

【参照記事】米国の銀行でステーブルコイン発行事業者のための準備金保有が可能に
【参照記事】Federally Chartered Banks and Thrifts May Engage in Certain Stablecoin Activities

まとめ、著者の考察

今週は、規制当局が絡んだトピックが多くみられた1週間でした。やはり、暗号資産・ブロックチェーンは規制産業であることを痛感しています。

その中でも、EUによるステーブルコインへの規制の方針をみる限り、日本とは根本的に考え方が異なっていることも感じました。日本は投資家保護の観点が強すぎるため、EUのように規制と同時にサンドボックス制度を設けるといった発想にはなりにくいのだと思います。

残念ながらこの状況ではイノベーションは起こりづらく、人材や情報が海外に出ていってしまう事態も加速する一方でしょう。私自身、規制当局への提言を行える立場になってきたこともあり、海外の状況はしっかりと伝えていきたいと考えています。

ステーブルコインについては、昨今の規制の流れをみる限り世界統一の通貨になる未来はあまり想像できません。国境が存在する限り、そこには侵してはならない金融の安定性が根付いているからです。ステーブルコインは法定通貨と共存し、実用化という側面では相性の良い特定の用途(DeFiや国際送金など)でのみ繁栄していくことが予想されます。

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田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。

田上智裕


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