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【重要ニュースまとめ(9/16~9/23)】米国で初の暗号資産銀行が誕生。一方のブロックチェーンは中国が世界をリードか。Uniswapが独自トークンを配布へ | 仮想通貨コラム | 仮想通貨の比較・ランキングならHEDGE GUIDE

今回は、9月16日〜9月23日の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについて、田上智裕氏(@tomohiro_tagami)から寄稿していただいたコラムをご紹介します。

目次

  1. Krakenグループが「暗号資産銀行」を開始
  2. 中国国家プロジェクト「BSN」が順調に進む
  3. Uniswapが独自トークン「UNI」を大量配布
  4. まとめ、著者の考察

先週(9月16日〜9月23日)の暗号資産・ブロックチェーン業界は、米国初の「暗号資産銀行」が大きく話題を呼びました。中国でもブロックチェーン国家プロジェクトが加速しています。本記事では、1週間の重要ニュースを解説と共におさらいしていきます。

Krakenグループが「暗号資産銀行」を開始

老舗暗号資産取引所のKrakenが、「暗号資産銀行」としての認可を米国で初めて取得しました。ワイオミング州の法律により、特別目的委託機関(SPDI:Special Purpose Depository Institution)として銀行業を開始します。

Krakenは2020年9月の初めに、日本で取引所を運営するために必要な免許を取得したと発表し、国内でも話題になりました。グローバルで大きなシェアを持っており、業界の発展に多大な貢献を果たしてきた老舗の取引所です。

日本に限らず、既存の金融機関はなにかと暗号資産業界の事業者を避ける傾向にあり、なかなか大手の金融サービスを享受できない状況が続いていました。今回、KrakenがSPDIとして認可されたことにより、これまで外部の金融機関に頼っていた顧客資産の管理業務などを自社で行うことができるようになります。より一層、暗号資産の扱いが簡易的になることが期待できるでしょう。

Krakenでは今後、口座開設時に暗号資産だけでなく法定通貨も預け入れることができるようになるといいます。また、将来的に当座預金や電信送金などにも対応する予定であり、暗号資産と法定通貨の距離が非常に近くなりそうです。

なお、SPDIには顧客資産を使用した貸付業務は認められていません。つまり、顧客から預かった資産を使って利益を出す事業に回すことはできず、当面のビジネスとしては手数料がメインになるとしています。

以前紹介した通り、米国では銀行側が暗号資産を取り扱うことを許可する方針を打ち出しています。これは、法定通貨から暗号資産への歩み寄りの一例ですが、今回のKrakenによる銀行業の開始は、暗号資産から法定通貨への歩み寄りの一例だといえるでしょう。

ユーザーからすると、既に保有している銀行口座で暗号資産を管理できるに越したことはないため、Krakenに限らず、全ての暗号資産取引所は銀行業の開始を狙っていると考えられます。

暗号資産が誕生して10年が経過したものの、ある一定の水準を超えてからは市場全体の成長幅が縮小しているように感じます。これには、暗号資産の取り扱いが難しい点が1つのハードルになっていると考えて間違いないでしょう。

実際、ブロックチェーンを使ったアプリケーション(DApps:Decentralized Applicationsという)のうち、“世界で”最も多くのユーザーを抱えるUniswapでも、MAU(月間利用者数)は20万にとどまっています。

こういった状況下にあるため、今回のKrakenによる暗号資産銀行業のスタートは非常に明るいニュースだといえるのです。時を同じくして日本での事業もスタートさせていることから、海外の先進的な取り組みが日本にも入ってくることを期待しています。

【参照記事】Kraken Wins Bank Charter Approval
【参照記事】【重要ニュースまとめ(7/16~7/31)】Twitterハッキング事件をブロックチェーンで追跡。米国では銀行がついに暗号資産市場に参入

中国国家プロジェクト「BSN」が順調に進む

中国が国家戦略として進めているブロックチェーンプロジェクト「BSN(Blockchain Services Network)」の全貌が徐々に明らかとなってきました。

以前より開発が進められている中国政府運営の大規模ブロックチェーンネットワークBSNは、将来的に24種類のブロックチェーンを統合する予定であると公表しています。これまでに、Tezos、NEO、EOS、Ethereum、Nervos、IRISnetの6種類に対応する方針を明らかにしていましたが、ここにきて一気に4倍に拡大する狙いがわかりました。

一般的に、我々が普段ブロックチェーンと呼んでいるものは、パブリック型のものを意味します。パブリック型のブロックチェーンを動かすには、インセンティブとしての暗号資産が欠かせません。しかしながら、中国では暗号資産の取引を禁止しています。

そこで中国政府は、24種類におよぶパブリック型のブロックチェーンを統合しつつ、実際に使用する際にはプライベート型に変換する方針を明らかにしました。BSN上で使用されるデジタル通貨も、暗号資産ではなくデジタル人民元を採用するといいます。

中国ではこのデジタル人民元の開発も急速に進められています。Facebook主導のLibraに端を発した世界的なCBDC(Central Bank Digital Currency)論争は、やはり中国が何歩もリードしているのが現状です。

中国のデジタル人民元は、必ずしもブロックチェーン上で稼働するとは限らないものの、ブロックチェーンとの互換性を持たせる形でしっかりと設計されているため、後追いで開発されているBSNでも問題なく取り扱うことができるのです。

BSNは2020年11月後半よりスタートする予定だといいます。国家戦略に位置付けているだけあってやはり開発スピードが非常に速く、日本はおろか米国にも圧倒的な差をつけて、今や世界No.1のブロックチェーン大国に駆け上がりました。

【参照記事】China’s BSN to ‘Localize’ 24 Public Blockchains by Making Them Permissioned
【参照記事】暗号資産市場の新たなトレンド、ガバナンストークンやファントークンの発行が加熱 − 6月後半の重要ニュース(6/15~6/30)

Uniswapが独自トークン「UNI」を大量配布

DeFi市場の急成長を牽引する大手DEX(Decentralized EXchange:分散型取引所)のUniswap(ユニスワップ)が、独自トークン「UNI」の発行を開始しました。

Uniswapは、DeFi市場に欠かせない「トークンの流動性」を提供する役割を担っています。異なるトークンを自由に交換できる場を作ることで、DeFi市場の経済を滑らかにいるのです。市場に対して流動性を提供することを「Liquidity Mining」といい、Uniswapはこの最大手プラットフォームとして成長を続けています。

今回発行されたUNIトークンはガバナンストークンとして機能し、保有者は将来的なUniswapのロードマップを決めることのできる権利を持つことになります。昨今のDeFiではこのガバナンストークンの動きが活発になっており、Uniswapもこの波に乗った形です。

特定の管理者が存在しない分散型の金融サービスを意味するのがDeFiであるため、これはごく自然なトレンドだといえるでしょう。

UNIトークンは、今後4年間にわたって以下の配分通りに総額10億UNI発行されるといいます。

  • 600,000,000:ユーザーコミュニティ
  • 215,101,000:運営チーム(4年間のロックアップ付き)
  • 178,000,000:初期投資家(4年間のロックアップ付き)
  • 6,899,000:チームのアドバイザー(4年間のロックアップ付き)

Uniswapには、これまで取引手数料が存在していませんでした。これは、分散型金融であるためビジネスとして行う前提でチームが発足していなかったためです。しかしながら、サービスの規模が大きくなるにつれて外部の投資家より資金調達を行い、事業として展開する必要が出てきました。

そのため、今後は取引手数料が発生する可能性が高いとみられています。またその場合、収益の一部をUNIトークン保有者に対して分配する仕組みも開発される可能性が示唆されています。

そこで懸念されるのが、UNIトークンの有価証券性についてです。DeFiの規制に関しては、米国証券取引委員会(SEC)の理事を務めるHester Peirce氏も言及しており、特定の管理者が存在しない事業をどのように規制するのか、という課題に触れています。

規制できないサービスというのは、ある種インターネットそのもののような存在であり、まさに既存金融の概念を根本から覆すようなムーブメントが起きているのです。

【参照記事】Introducing UNI

まとめ、著者の考察

今週の重要トピックからもわかる通り、やはり暗号資産・ブロックチェーン業界をリードしているのは中国でありアメリカです。日本の取り組みがなかなか世界で話題になっていない現状は、日本の未来を考察する上でも深刻な事態だといえるでしょう。

一方で、DeFiのような国境が意味をなさない動きが盛り上がっている点にも要注目です。イメージとしては、暗号資産は国ごとに違いがあり変化し、ブロックチェーンは国境に左右されないといったところでしょうか。まさにテクノロジーの進化を感じます。

DeFiが盛り上がりをみせているとはいえ、アクティブユーザーは全世界でも数千人から数万人程度にとどまっています。先週紹介した、ガートナーのハイプサイクルでいうところの幻滅期にすら到達してない黎明期の産業では、地道な啓蒙活動が欠かせません。

UI/UXという観点でも着実な成長を感じているため、私自身も引き続き業界の発展に貢献していきたいと思います。

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田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。

田上智裕


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