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【重要ニュースまとめ(9/1~9/15)】暗号資産取引所に歴史的転換点が到来。ガートナーのハイプサイクル2020が公開。注目のブロックチェーンは? | 仮想通貨コラム | 仮想通貨の比較・ランキングならHEDGE GUIDE

今回は、9月前半(9月1日〜9月15日)の暗号資産・ブロックチェーン業界の重要ニュースについて、田上智裕氏(@tomohiro_tagami)から寄稿していただいたコラムをご紹介します。

目次

  1. イーサリアムのガス代問題は未だ解決せず
  2. 暗号資産取引所に歴史的転換点が到来
  3. 老舗暗号資産取引所Krakenが日本での事業を開始
  4. 米国がDeFiの規制へ動く
  5. ガートナーが日本版ハイプサイクル2020を公開
  6. 「Tether問題」が再燃
  7. まとめ・著者の考察

9月前半(9月1日〜9月15日)の暗号資産・ブロックチェーン業界は、Uniswapを中心としたDeFiの台頭によるガス代の高騰やガートナーの日本版ハイプサイクル2020が話題となりました。本記事では、9月前半の重要ニュースを解説と共におさらいしていきます。

イーサリアムのガス代問題は未だ解決せず

イーサリアムブロックチェーンの取引手数料であるガス代が、過去最高を更新しました。DeFi市場の急激な成長が要因としてあげられます。

イーサリアムは、ブロックチェーンを使ったアプリケーション開発のために構築され、既に他の追随を許さない規模にまでそのエコシステムを拡大しています。これまでに、ゲームや金融(DeFi)といった市場で人気を博してきました。

イーサリアムを利用するには、ガス代と呼ばれる手数料を支払わなければなりません。DeFi市場の盛り上がりを受け、ここ数ヶ月にわたりイーサリアムのガス代が高騰し続けた結果、9月1日までに過去最高の11.75ドルに達しています。

これは、例えば0.01ETH(約350円)を送金する場合でも、手数料に1,000円かかってしまうような状況です。スパムや悪質なbot、DoS攻撃に対策するためにガス代は必要な仕組みであるものの、このような状況下ではイーサリアム上で稼働するサービスを気軽に利用することができなくなってしまいます。

ガス代は固定されたものではなく、イーサリアムを利用する人が自由に設定できます。設定されたガス代は、イーサリアムのマイナーが報酬として受け取ることができ、かつガス代が高く設定された取引を優先して処理していくことが可能です。

すると、ガス代を安く設定した場合はいつまで経っても取引が承認されません。反対に、ガス代を高く設定すれば瞬時に承認されることになります。これがガス代の高騰を生み出す1つの要因です。

こうなると、小規模取引は永遠に実行されないことになってしまいます。これでは、イーサリアムは大口利用者のみのものになってしまうのです。たかが手数料されど手数料、ガス代はイーサリアムネットワーク全体を崩壊しかねない可能性を秘めています。

【参照記事】高騰続くETHのネットワーク手数料、Uniswapでのガス代が歴史的水準に
【参照記事】Ethereum Transaction Fees Set a Record Once Again as DeFi Becomes Even Pricier

暗号資産取引所に歴史的転換点が到来

暗号資産取引所には、集権型取引所を意味するCEX(Centralized EXchange)と、分散型取引所を意味するDEX(Decentralized EXchange)が存在します。

後者のDEXのうち最も多くのシェアを誇るUniswapが、世界最大手CEXの1つであるCoinbase Proの24時間あたりの出来高を上回りました。Coinbaseは、古くから暗号資産業界を牽引してきた存在であり、この出来事は歴史の転換点であるとして大きく話題となっています。

Uniswapでは、全ての取引がスマートコントラクトにより自動実行されます。そのため、CEXとは異なり誰でも自由に任意の暗号資産を上場させることができるのです。この仕組みが人気を博し、24時間あたりの出来高が4億ドルを超えるまでに成長しました。

これを上回る取引所は、CEXであるHuobi GlobalとBinanceしか存在しません。今まさに、時代の過渡期を迎えているのです。

【参照記事】Uniswap Moves Billions to Pass Coinbase, Maker in DeFi Metrics
【参照記事】Defi Platform Uniswap Outpaces Coinbase Pro in Global Trade Volume

老舗暗号資産取引所Krakenが日本での事業を開始

世界的に大きくシェアを持つ暗号資産取引所Krakenが、日本で新たに暗号資産交換業の免許を取得したと発表しました。日本では、Krakenグループの日本法人であるPayward Asiaが事業を運営します。

日本にも、徐々に海外の大手取引所が参入し始めてきました。現在までに、Huobi JapanやBinanceと提携したTaoTaoが既に事業を展開しています。先述のCoinbaseも日本法人を構えており、今回Krakenが新たに追加された格好です。

Krakenは、暗号資産交換業の登録免許制がスタートする以前より日本で事業を展開していました。2017年の改正資金決済法の施行に伴い一時的に事業を撤退し、今回リスタートした形です。

【参照記事】暗号資産交換業登録完了のお知らせ

米国がDeFiの規制へ動く

米国証券取引委員会(SEC)の理事を務めるHester Peirce氏が、昨今話題のDeFiについて規制の観点から言及しました。Peirce氏は、暗号資産擁護派であることから“クリプトママ”と呼ばれ、暗号資産・ブロックチェーン業界の発展を長年後押ししてきた人物です。

氏は「DeFiによってこれまで暗号資産に対して整備してきた規制を、根本から見直す必要があると考えています」と話しました。当たり前の話ですが、規制とは投資家や事業者といった特定の個人ないし組織を対象に整備するものです。DeFiのように、特定の管理主体が存在しない場合、何を規制の対象にすれば良いのか、という根本的な議論から始まることになるのでしょう。

一方で、規制当局の立場として「maternalistic」という言葉を用いて、「野放しにせず正しく取り締まっていく」旨も明らかにしています。

【参照記事】SEC Faces Stiff Test in Regulating DeFi, Says Hester Peirce
【参照記事】米SEC「クリプトママ」、アメリカが直面する仮想通貨規制の理想と厳しい実態

ガートナーが日本版ハイプサイクル2020を公開

ITリサーチ・アドバイザリ企業のガートナーが「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年」を発表しました。「ブロックチェーン」は、2019年に続き「過度な期待のピーク期」から「幻滅期」に差し掛かる場所に位置しています。

昨年との主な違いとして、新たに「ブロックチェーンによるトークン化」「非中央集権アプリケーション」「ブロックチェーン・ソサエティ」「非中央集権型web」が追加された点があげられます。これは、ブロックチェーンの実用化がここ1年で急速に進んだ結果であるといえるでしょう。

ブロックチェーンが今後、幻滅期を超え啓発期そして生産性の安定期へと進んでいくには、ブロックチェーン以外の要素との掛け合わせが重要だといえます。特にリアルとの融合という観点では、「モノのインターネット」の普及が欠かせません。ブロックチェーンと合わせて今後の変化に要注目です。

なお担当アナリストによると、ハイプサイクル2020には新型コロナウイルスの影響が加味されているといいます。ブロックチェーン以外には、「5G」や「ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)」、「デジタル・ヘルス」をキーワードとして取り上げており、トレンドに即したものとなっています。

【参照記事】ガートナー、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年」を発表
【参照記事】ブロックチェーンはいまだ幻滅期の底に、ガートナーがハイプ・サイクル2020年度版を発表

「Tether問題」が再燃

以前より度々話題になってきた「Tether問題」が再燃しています。ステーブルコインTether(USDT)の発行・管理を行うTether社およびBitfinex社に対して、ニューヨーク司法当局(NYAG)が財務記録の提出命令を裁判所に求めました。

Facebook主導のLibraをきっかけに注目を集め始めたステーブルコインには、いくつかの種類が存在します。大きく分けて「法定通貨担保型」「暗号資産担保型」「無担保型」の3つです。

法定通貨担保型

文字通り法定通貨(ドルや円、ポンドなど)を担保にして発行されます。代表例として、TetherやLibraがこのカテゴリに分類されます。

暗号資産担保型

仕組みは法定通貨担保型と同じであり、法定通貨ではなく暗号資産を担保に発行されます。代表例は、DeFi市場の基軸通貨として流通しているDaiがあげられます。

無担保型

上記2つとは仕組みが異なり、担保資産が無い状態で発行されます。通貨発行体の制御するアルゴリズムによって価格がコントロールされています。

今回話題となったTetherは、米ドルを担保にして発行されるステーブルコインです。Tether社とBitfinex社が発行の役割を担っています。先述の「Tether問題」とは、「Tether社は本当に担保資産としての米ドルを保有しているのか」という問題です。

Tetherは米ドルを担保にして発行されるため、発行元には当然、発行されているTetherと同額の米ドルが存在するはずです。2020年9月時点で発行されているTetherの総額は約140億ドルにおよびます。設立数年のベンチャー企業が、そこまでの米ドル資産を保有しているとは考えにくいのです。

そのため、Tether社はこれまでに何度かニューヨーク司法当局より財務記録の提出命令を受けてきました。その求めに応じたことは1度もなく、のらりくらりとかわし続けているのです。

仮にTether社が、発行されているTetherと同額の米ドルを保有していなかった場合、理論上Tetherの価格は暴落することになります。Tetherは時価総額でビットコイン、イーサリアムに次ぐ第3位に位置しています。「Tether問題」に決着がついた時、暗号資産市場全体にどのような影響をもたらすのか、引き続き注意が必要です。

【参照記事】速報 NY司法当局、テザー社の財務記録提出を求める申請書を提出
【参照記事】NY AG Asks Court for New Order to Make Bitfinex Turn Over Tether Loan Documents

まとめ・著者の考察

少しずつ着実に、ブロックチェーン市場がイーサリアムを中心に動き始めています。DeFiはその先端をいくトピックであり、引き続き話題の多くを占めることになるでしょう。日本でも、規制当局を含めいち早くキャッチアップする必要があると感じています。

一方で、イーサリアムにはガス代の高騰、暗号資産市場全体にはTether問題が長年解決できないまま存在しています。もう一段階業界が成長していくには、こういった過去の課題にしっかりと向き合っていかなければなりません。

ガートナーのハイプサイクルに関しては、著者の肌感として、幻滅期に差し掛かっている「ブロックチェーン」は主にエンタープライズ領域のものを意味していると感じています。また、新たに追加された「ブロックチェーンによるトークン化」や「非中央集権アプリケーション」、「非中央集権型web」は、個人向け市場を意味するものではないでしょうか。このように捉えると、それぞれの位置付けとしてある程度は納得のいく分析ではないかと感じています。

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田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。

田上智裕


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