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アングル:テスラが自動運転機能からレーダー削除、安全確保は可能か | ロイター

[2日 ロイター] – 米電気自動車(EV)大手・テスラが半自動運転機能「オートパイロット」からレーダーセンサーを削除すると発表したことが、波紋を呼んでいる。

 6月2日、米電気自動車(EV)大手・テスラが半自動運転機能「オートパイロット」からレーダーセンサーを削除すると発表したことが、波紋を呼んでいる。カリフォルニア州サンタクラリタで2019年10月撮影(2021年 ロイター/Mike Blake)

テスラはカメラのみで構成するシステムを目指す方針だが、業界内では暗闇やぎらつき、悪天候といった環境で有効に機能するのか懸念する声が多い。安全性評価団体は新システムをテストするまでの間、評価を引き下げた。

ただ、テスラのマスク最高経営責任者(CEO)はこれまでも業界を驚かせており、何よりテスラを世界で最大の企業価値を誇る自動車メーカーに育て上げた実績を持つ。

テスラがレーダー不使用に踏み切った経緯や、安全性を巡る問題点をまとめた。

<テスラの自動運転システム>

テスラは5月から「モデル3」と「モデルY」の運転支援機能について、8つのカメラで構成し、レーダーを装備しない仕組みとした。カメラはヒトの「目」と同じように、「脳」に当たるコンピューターネットワークに映像を送信。脳が映像を認識し、分析する。

テスラは、レーダーに対する見解がこの数年で変化してきた。

2016年5月にはテスラ車のオートパイロットが前方を横切る白いトレーラーを感知できず衝突し、運転者が死亡する事故が起きた。

その後、テスラはナビゲーションシステムの柱にレーダーを据える計画を発表したが、同時に一部のレーダーシステムは誤認警報を発する不具合があり、修正が必要だと指摘。

マスク氏は16年、ツイッターに「レーダーの良いところはLiDAR(ライダー)とは違い、雨や雪、霧、粉塵などが降っていても先を見通せることだ」と投稿し、テスラもレーダーは「前方の物体の把握と反応で重要な役割を担う」と説明した。

LiDARはレーザー光を駆使して対象物の形状や対象物までの距離を計測する光センサー技術。レーダーに比べて、物体についてより正確な情報を伝えるが、コストは高く、テスラは採用していない。

テスラの運転者からは、オーバーパス(陸橋などとの交差地点)や橋などを走行中に車が突然停止する「ファントムブレーキング」が起きたと苦情も寄せられた。

ニュースサイトのエレクトレクによると、マスク氏はカメラだけで構成する新システムについて、混乱を引き起こす信号が少ないため、レーダーよりも安全だと述べた。

テスラ車は16年5月以降も似たような状況で事故の発生が相次ぎ、米道路交通安全局(NHTSA)は現在、テスラ車が関係した24件の事故について調査を進めている。

<自動運転の他の安全技術>

ほとんどの自動車メーカーと自動運転車企業は、カメラ、電波を用いるレーダー、光センサーのLiDARの3つの技術を使っている。

レーダーシステムはカメラと同様にコストが比較的低い。悪天候下で機能するが、物体を正確に認識する解像度が低い。LiDARは解像度が高いが、悪天候に弱い。

カーネギー・メロン大学のラジ・ラジクマール教授(コンピューター工学)は「種類の違うセンサーを全て使い、それを統合する必要がある」と指摘。これが業界関係者の一致した見方だ。

テスラの人工知能部門ディレクター、アンドレイ・カーパシー氏は3月のポッドキャストで、テスラのカメラシステムは「設計が非常に難しい」が、LiDAR技術を使ったウェイモのシステムより「コストはかなり安く」、EVメーカーはこの技術を広げ、さらに進化させることができると述べた。

<レーダー不採用の影響>

この点を巡り議論が噴出している。

カリフォルニア大学バークリー校の研究者、スティーブ・シャルドバー氏は、レーダーの削除で運転支援機能が低下し「悪天候下では『利用度が低い』という状態から『利用不可能』になる。技術的にはどう見てもばかげている。部品のコストを下げるための1つの手段に過ぎない」と手厳しい。

レーダーメーカーであるアーブ・ロボティクスのラム・マチネス最高事業責任者は、レーダーは距離を正確に測る機能が優れており、削除すれば減速中の車との衝突を回避する緊急ブレーキに影響が出ると主張。運転支援システムを開発するテラノンは、ツイッターに「レーダーを削除し、レーダーの役割を担う映像がなければ、安全性が犠牲になる」と投稿した。

テスラは、前方の車に合わせたスピードを保つ技術など一部の運転支援機能が一時的に制限されたり、停止したりする可能性があるが、数週間以内にはソフトウエアをアップデートし、再開するとしている

マスク氏はエレクトレクで、カメラによるシステムは非常に性能が向上しており、レーダーなしでも問題はないとの認識を示した。

NHTSAは先に「モデル3」と「モデルY」の運転支援機能の一部について、安全面の推奨を示す「チェックマーク」が外れると発表。米有力専門誌「コンシューマー・リポート」もモデル3は最高推奨対象ではなくなると表明した。NHTSAとコンシューマー・リポートはいずれもカメラを使った新システムをテストする意向だ。

<何が最良かは不明>

テスラの方針は、自動運転業界の大勢に反している。しかし、誰が正しいのかを断言するのは難しい。完全な自動運転機能はまだ開発されておらず、業界全体が当初の見通しを示すのは何年も先のことだ。

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