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「集英社、当期純利益200億円超」「コミティア支援クラウドファンディング開始」など、出版関連気になるニュースまとめ #437(2020年8月23日~29日) | HON.jp News Blog

出版関連気になるニュースまとめ
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《この記事は約 12 分で読めます》

 2020年8月23日~29日は「集英社、当期純利益200億円超」「コミティア支援クラウドファンディング開始」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版関連ニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

国内

「SNSが漫画を“民主化”した」、読者と作家に変革もたらしたSNS漫画の現在地〈ORICON NEWS(2020年8月24日)〉

https://www.oricon.co.jp/special/55038/
 マンガ家養成講座「コルクラボマンガ専科」を主催する、クリエイターのエージェント会社・コルク代表取締役 佐渡島庸平さんへのインタビュー。描く側にとっても「SNSによって漫画は民主化され、解放された」と佐渡島さん。これを読んだとき、WordPress Foundation が掲げている「出版の民主化」というミッションを思い出しました。マンガに限った話ではなく、コンテンツ全般に言えることですね。デジタル化とネットワーク化の進展に伴い、誰でも使える便利な道具が普及しました。でも、誰でも「うまく」使えるとは限らないのですよね。毎日、だれかがどこかで炎上していたり、だれにも読まれず埋もれていったりしています。HON.jpも、佐渡島さんと同じような問題意識を持ち、活動しています。

『アクタージュ』終了は「被害に遭われた方のせいではありません」。原作者の逮捕受け、作画の宇佐崎しろさんが訴え〈ハフポスト日本版(2020年8月24日)〉

https://this.kiji.is/670507164191343713?c=491375730748638305
 原作者が女子中学生への強制わいせつ容疑で逮捕され、連載終了・出荷停止となった『アクタージュ』。作画担当・宇佐崎しろさんによる読者への「お願い」が、被害者への気遣いと配慮にあふれていて、胸が熱くなりました。その反面、ジャンプ編集部の対応への読者の批判の声は、より高まっているように感じます。やり場のない怒りをぶつけられてしまっている感。

 また、グローバル展開が始まっていたこともあってか、Twitterのリプには英語の勝手翻訳や要約も散見されました。この辺り、8月23日のHON.jpブロードキャスティングで、ゲストの西野由季子さんがフランスでの状況を語ってくれました(↓)。配信終了後の交流会では、参加者の方からアメリカでの状況を聞くこともできました。海外向けの対応は、後手に回っちゃってるようですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Dquf4E0Td04

日本の文化財や美術・映画など2,100万件を探せる「ジャパンサーチ」正式公開〈マイナビニュース(2020年8月25日)〉

https://this.kiji.is/670949368977589345?c=491375730748638305
 試験版から正式版に。全国機関のデジタルアーカイブと連携し、メタデータを横断検索できる統合ポータルサイトです。試験版のときの説明会レポート(↓)にもあるように、当初から、ユーザーがマイノートでギャラリーを作成したり、ウェブパーツを作成したりといったことは可能でした。正規版ではさらに、共同編集機能が追加されたようですが、探しても見つからない……問い合わせ中です。
https://hon.jp/news/1.0/0/25775

集英社、当期純利益200億円超に。廣野眞一専務が新社長〈新文化(2020年8月26日)〉

https://www.shinbunka.co.jp/news2020/08/200826-01.htm
 集英社は昨年の決算で、当期純利益が98億7700万円、前年の4倍弱という“画期的な数字”を叩きだしていました。今年の決算は、さらにその2倍以上という、凄まじい実績。『鬼滅の刃』の大ヒットなど、コミックスの好調に支えられているようです。新文化の記事では内訳が分からないのですが、昨年までと同様、デジタル、版権、物販など「その他収入」が躍進しているのでしょう。

電子書籍の利用急増 大阪市立中央図書館〈大阪日日新聞(2020年8月26日)〉

https://this.kiji.is/671173118362813537?c=491375730748638305
 コロナ禍を受け、電子図書館(電子書籍貸出サービス)の利用が急増している、というニュースが立て続けに出ています。この記事で「おや?」と思ったのが、「大阪市」というところ。大阪市は2018年に楽天と協定を結び、「Rakuten OverDrive」が試験導入されていたんですよね。OverDriveの試験導入はこの5月31日で終了(↓)しており、6月以降は「EBSCO eBooks」単独になっています。記事内でそのことには触れられていないのが、逆に気になる。
https://www.oml.city.osaka.lg.jp/index.php?key=jofb4g2a4-510

マンガ Meets:集英社が女子向けマンガ投稿サイト開設 いくえみ綾、中原アヤ、アルコ、持田あきの資料も公開〈MANTANWEB(2020年8月26日)〉

https://mantan-web.jp/article/20200825dog00m200061000c.html
 集英社のマンガ誌「りぼん」「マーガレット」「別冊マーガレット」「クッキー」「ココハナ」とデジタル版の編集者からコメントがもらえたり、担当希望が付いたりという、「作家と担当者が出会える」投稿サイトです。えっと、講談社「DAYS NEO」の後追い……いえ、競争があるのは良いことです。

「WEBマンガ総選挙2020」最終投票8月27日スタート!”いま最もWebで愛されている作品”が決まるマンガ賞〈ほんのひきだし(2020年8月26日)〉

https://hon-hikidashi.jp/enjoy/112452/
 ノミネート作品が発表され、最終投票が始まりました。「次に来るマンガ大賞」もそうでしたが、私の知ってる作品は数点……精進します。

文献のコピー自宅で閲覧 コロナで図書館休館、研究に支障〈共同通信(2020年8月27日)〉

https://this.kiji.is/671650861552010337?c=491375730748638305
 8月27日に開催された文化審議会著作権分科会の「図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム」を受けた記事。著作権法第31条の権利制限規定で、国立国会図書館と政令(施行令第1条の3)で認められた図書館では、一定の条件下でユーザーに提供するための「複製」を無断で行うことができます。来館できなくても、コピーの郵送までならやってるところもありますが、現状の規定だとメールやFAXなど公衆送信は不可になっているのをどうするか。あとは、図書館送信で館内限定公開になっているデジタル化された絶版等資料をどうするか、などについて今年度中に何らかの結論を出し、来年の国会へ法案提出というスケジュールになっています。資料はこちら(↓)。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/toshokan_working_team/r02_01/

「コミティア」クラファン半日で5000万円突破 コロナ禍での経営難に支援相次ぐ〈KAI-YOU.net(2020年8月28日)〉

https://kai-you.net/article/77709
 0時に開始、翌朝起きて見たらもう目標額の3000万円達成していました。本稿執筆中にはコミティア実行委員会から、8000万円突破のお礼メッセージが届きました。支援者はすでに7500人。36年の歴史の積み重ねと、参加者の方々の熱い思いを感じます。リアルイベントが一日でも早く、以前のように開催できるようになると良いですね。

海外

「日本のオタク文化を世界へ」BOOK☆WALKERの海外展開を聞く〈WANI BOOKS NewsCrunch(2020年8月22日)〉

https://wanibooks-newscrunch.com/articles/-/957
 ブックウォーカーの“グローバルな中の人”インタビューという企画。イギリス出身で日本国内販売企画の担当者と、ドイツ出身で「BOOK☆WALKER Global Store」を担当している方です。イギリスとの文化の違いとか、グローバル展開での苦労とか、いろいろ興味深い。

 ただ、記事とは関係ない部分が気になってしまいました。このインタビュー、出版社ワニブックスが運営するウェブマガジンに載っています。記事の下にマンガが3作品、アフィリエイトで紹介されています。ところが3作品とも講談社(なぜ?)、そしてリンク先はアマゾンとhonto(なぜ!?)。ワニブックスでもブックウォーカーでもないという不思議。

WordPressの開発者、「AppleからアプリにApp内課金機能を追加しないとアプデさせないと通告された」〈ITmedia NEWS(2020年8月23日)〉

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2008/23/news019.html
 WordPressのiOSアプリが、Appleの審査でリジェクトを食らった、というニュース。Appleからリジェクトされるのはそれほど珍しい話ではありませんが、数年前から存在していた表記が急に問題視されたこと。また、よりによって“出版の民主化”を掲げるWordPressであること。Epic Games騒動がまだ記憶に新しいことなどから、話題になっています。まあ、Appleの審査は担当者によって判断にブレがあるというのは、昔からよく言われていることではあるんですけどね。

米MS、アップル対抗措置に懸念 「フォートナイト」側を支援〈共同通信(2020年8月24日)〉

https://this.kiji.is/670409896793228385?c=491375730748638305
 前の記事も後ろの記事もそうですが、GAFAへの米下院公聴会以降、支配的なプラットフォームを持つ巨大IT企業同士で牽制する動きが激しくなっているように感じます。巨大IT企業だけど公聴会には呼ばれなかったMicrosoftのは、TikTokの買収にもいち早く名乗りを上げるなど、いろいろ積極的に動いている感があります。電子書店はたった2年で投げ捨てましたけどね!

フェイスブック、アプリ手数料に関する通知表示をアップルが認めず〈ロイター〉

https://this.kiji.is/671929300441990241?c=491375730748638305
 こちらはFacebookからAppleへの牽制。米下院公聴会では強く追求されなかったAppleですが、独占禁止法の審査そのものはまだ終わっていません。それゆえ競合各社が「Appleはこういう理不尽なことをやっているんですよ」と、アピールしている感があります。

天安門事件や雨傘運動の内容削除 香港教科書、教育にも規制〈共同通信(2020年8月2日)〉

https://this.kiji.is/672338342841418849?c=491375730748638305
 香港国家安全維持法による思想統制の動きが止まりません。活動家の著作が公共図書館から撤去され、学校では一斉に「有害図書」が処分され、教科書も厳しく検閲され。こういう法律が成立してしまうと、どんなことが起きてしまうのかを、我々は目の当たりにしているわけです。日本は、戦前の治安維持法があまりに酷かった反省もあり、思想統制に近しい動きには比較的敏感ですが、それでも、油断してはダメでしょう。

ブロードキャスティング

 毎週日曜日21時から配信する、30分間のライブ映像番組。上記のニュース紹介や解説をゲストとともに、より掘り下げた形でお届けしています。8月30日のゲストは漫画の助っ人マスケット合同会社代表の菊池健さんでした。

 次回のゲストは株式会社メディアドゥ取締役CBDOの溝口敦さんです。ライブ配信終了後、交流会もあります。詳細や申込みは、Peatixのイベントページから。

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CC BY-NC-SA 4.0
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