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頭痛診療で全例必須の非薬物療法、基本を押さえる | 臨床ニュース | m3.com

藤田光江(監)、荒木清、桑原健太郎(編)『小児・思春期の頭痛の診かた 改訂2版』(南山堂)より転載

非薬物療法の基本

 片頭痛、緊張型頭痛を中心とした一次性頭痛の治療は、薬物療法と非薬物療法に大別される。

 本項では、小児・思春期頭痛患児を診療していく上で、筆者が最も大切と考える「非薬物療法」の実際について述べる。非薬物療法は、薬物療法に先行して、または必ず同時進行して全例に行われる必須の治療であることを理解することが肝要である。

 筆者の頭痛外来では、初診患児に限り、一人あたり1時間半の診察枠を設定している。この時間のなかで最も時間を割いているのが、患児個人個人の生活習慣に応じた指導・助言の「非薬物療法」である。外来で実際に渡し、説明に使用しているプリントが表3-2-1である。実際の外来では、「自分の頭痛スイッチを押しやすい誘因はどれだろう?」、「今ある頭痛を少しでも減らすためには、生活習慣で改善すべき点は何だろう?」、「○○してみるのもありかもよ!」などと話しながら、表3-2-1のプリントに沿って1つ1つ確認している。

表3-2-1 片頭痛患児における生活上の留意点(=非薬物療法)

基本:規則正しいメリハリのある生活

① 早寝・早起き・朝ごはん

② 寝すぎ、寝不足、長い昼寝に注意

③ 誘因の回避(光・音・におい過敏など)

  • スマホ、パソコン、ゲームなどのブルーライト制限(特に夜間)
  • 日光、明るすぎる照明を避ける(帽子、サングラスの着用など)
  • 満員電車・バス、満員の映画館、暖房の効きすぎた部屋、熱い風呂・長湯、香水などのにおいが強いものは避ける
  • 気温・気圧・天候に注意(高温多湿、雨、低気圧など)
  • 生理周期の把握(女性)
  • 高山(標高2,500 m以上の登山には要注意)
  • 共存症・合併症の適切なコントロール・治療(アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、虫歯、咬合不全など)
  • 過剰なストレス、ストレスからの解放
  • 食物・飲料:ポリフェノール、カフェイン過剰、アルコール(成人)など

④ 肩こり・緊張型頭痛、ストレスの自己コントロール

  • 頭痛体操、マッサージ、適度の運動、姿勢に注意

⑤ 学校対策(「片頭痛」という体質を理解していただく)

  • 診断書、冊子の活用、担任・養護教諭との密な連絡、頭痛の啓蒙活動・講演
  •  急性期治療薬の内服タイミング(授業中でも)
  •  保健室の利用(安静臥床の確保)
  •  教科書に日光が直接当たる窓際の席は避ける

[1]生活習慣の改善

 生活習慣の見直しは「非薬物療法」の基本となり、規則正しいメリハリのある生活は、結果として片頭痛や緊張型頭痛の頻度を確実に減少させる。そのためには、外来で患児個人個人の生活リズム(年齢、学校、クラブ活動への参加、受験生か?、塾に通っているか?、習い事は?、スマホやパソコンを持っているか?、起床時刻・就寝時刻、睡眠時間はどのくらいか?、友人・兄弟関係、患児の頭痛の誘因は何が多いか?など)を把握することが必要となる。以下、非薬物療法としてそれぞれ大切と思われること、その指導・アドバイスの実際について述べる。

■ 早寝・早起き・朝ごはん

 早寝・早起き・朝ごはんは、頭痛対策というより、すべての成長期の小児に最も大切なことではあるが、守られていない場合が多い。睡眠時間は年齢ごとに異なり、最低7~8時間確保することは大切であるが、「眠りの質」、「朝すっきり早起きできているか」が最も大切であると考える。思春期になると就寝時刻の一定化は困難になるが、筆者は朝の起床時刻の固定化が最も大切である(例えば、日曜でも夏休みでも朝6時半に起きるなど)と指導している。

■ 寝すぎ、寝不足、長い昼寝に注意

 寝不足が続く、寝すぎで日曜日起きたら昼だった…、などは片頭痛、緊張型頭痛ともに頭痛頻度の増加の誘因となるので要注意である。特に片頭痛の患児においては、長すぎる昼寝、こたつでうたた寝などは頭痛が誘発されやすい。

 ここから以下は、光・音・匂い過敏、気圧の変化などの誘因の回避について述べるが、それぞれ実際に筆者が指導している方法を示す。

■  日光や明るすぎる照明を避ける

 片頭痛患児は多かれ少なかれ「光過敏」体質を有している。筆者は片頭痛の診断確定時に、小児であっても夏季を中心とした紫外線対策として、サングラスと帽子の着用を勧めている。明るすぎる照明や点滅光も片頭痛の誘因となる。直射日光の当たる教室の窓際の席も可能なら避けたい。

■  スマートフォン、ゲーム機、パソコンなどのブルーライトの制限

 ブルーライトは、波長が380~500 nm の青色光で、ヒトの目で見ることのできる光(可視光)のなかで最も波長が短く強いエネルギーを持つ。パソコン、スマートフォン、ゲーム機、液晶テレビなどの画面が発する光や、LED照明の光に多く含まれており、最近10~20年の間の生活習慣の変化により、特に夜間のブルーライト曝露量は急激に増加している。

 最近、錐体・桿体以外の第3の視細胞(光受容体)としてメラノプシン含有網膜神経節細胞の存在が発見され、ブルーライトを感知し、視床下部と連結し24時間サーカディアンリズムをコントロールしていることが判明した。夜間にスマートフォンやパソコンの画面を長時間見すぎると、脳は「太陽が昇ってきた」と勘違いし、メラトニンなどのホルモンの分泌障害を介して、不眠や睡眠相後退などの概日リズム障害を起こしやすい。当然、朝は起きられず、頭痛も増加し、二次的に起立性調節障害(OD)傾向にもなりやすい。厚生労働省関連平成25年報告では、中高生のインターネット依存・スマートフォン依存の割合は8.1%と報告されている。最近は子守に(乳幼児に)スマートフォンを使用する親も多く、今後の乳幼児の成長・発達に与える影響が懸念される。

 参考ではあるが、筆者の施設の小児・思春期頭痛外来で実際に指導しているブルーライト制限基準を表3-2-2に示す。

表3-2-2 ブルーライトの制限基準(具体案)

①スマホ、パソコン、ゲーム、テレビなどの使用を合計3時間以内/日に抑える

②夜8時以降は使用しないのが望ましい(就寝2時間前以内)

③ブルーライトカットメガネ(PC眼鏡)の着用

④夜間のリビング、勉強部屋の照明の明るさを落とす

⑤睡眠時間最低7時間+(早寝)早起き

⑥可能なら朝(短時間でも)太陽の光を浴びる

 また以下に、ブルーライト制限が最も効果的であった慢性連日性頭痛の思春期症例(症例1)を提示する(=m3.comの連載では割愛します。詳細は書籍でご覧ください)。

参考文献

1) 荒木清: 小児片頭痛患児における季節性アレルギー性鼻炎の共存率とその管理の重要性,日本頭痛学会誌, 36: 94, 2009.

2) 山中岳: 小児片頭痛の予防療法; 薬物療法について, 日本頭痛学会誌, 44: 253, 2017.

3) 坂井文彦 監修:頭痛体操,日本頭痛学会ホームページ(http://www.jhsnet.org/pdf/zutu_taisou.pdf).

4) 藤田光江: 知っておきたい学童・生徒の頭痛の知識, 日本頭痛協会ホームページ(https://www.zutsuu-kyoukai.jp/養護教諭と教師向け資料/).

荒木 清

(つづく)


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